導入事例
医療法人 神甲会 隈病院様
患者様の採血時の情報をデータ化し、見える化することで、
より安心・安全な採血業務を実現
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- 新田 早苗様
- 看護本部 本部長・認定看護管理者・医療安全管理者
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- 山口 彩子様
- 看護本部 外来看護科 採血リーダー
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- 秦野 満喜子様
- 診療支援本部 臨床検査科 検体検査室 室長
※部署名、役職名は取材当時のものです。
導入製品
- 採血管準備装置 i・pres fine
- 採血業務支援システム RInCS
- 採血業務指標化システム
患者様中心の医療を実施しています
1932年(昭和7年)に開設された医療法人 神甲会 隈病院様は、兵庫県神戸市にある甲状腺疾患の専門病院として、全国各地から数多くの患者様が診察や入院に訪れています。
病床数は58床ですが、外来数が多いのが特徴で、平均外来患者数664名/日(2019年)の外来患者が訪れます。(これは300床クラスの病院規模にあたります)
このため、隈病院様では外来患者様の来院の負担を軽減するため、受診日1日で検査から診察まで済ませられるように対応されています。
また、電子カルテ・画像システム・ポケットベルによる患者様呼び出しシステム・再診予約システムなどの院内情報システムを導入し、患者様に快適でスムーズな診察をご提供するために、より迅速で効果的な情報の活用を追及されています。
採血管準備装置のリプレースと採血業務指標化システムにあたり、重要視されたポイントは何でしょうか?
新田様
採血時の血管情報を入力できることが大きなポイントでした。
当院では、1日の外来検体数が非常に多いため(約680件/日)、より安全に採血する必要があります。これまで採血による合併症への対応には、穿刺した血管とその状態、また穿刺に用いた針(21G・22Gなど)の記録がなかったため、患者様への対応が難航していました。従来から担当の看護師は特定できますが、看護師は1日当たり数多くの採血を担当するため、当時の記憶は残っておらず、この点も対応に苦慮する一因でした。
今回導入した採血業務指標化システムでは、患者様の血管情報や使った針の情報、どこの部所から穿刺したのかなどが記録に残りますので、安全を担保することができるようになりました。
また患者様の重要な情報を蓄積できることで、次回の採血をより安全に行うことができるようになります。この点が他にはないシステムだと思いました。
山口様
i・pres withを使ってみて、トラブルがすごく少なかったこと、そしてi・pres withを使っての業務対応に慣れていたことがあります。また、小林さんはトラブルが発生した場合でも電話をすればすぐに来てくれて、その日のうちに改善してくれたことは、隈病院では1日の検体数が多いだけにとても助かります。この点は重要なポイントになりました。
更新に際して、当社からの提案に対し、どのような印象をお持ちになられましたか?
新田様
初期導入時からのお付き合いのため、隈病院がどういう機能を持った病院か、何を一番重要としているかをよくわかってもらっていて、病院側の要望を細かいところまで聞いてもらえる、たとえば採血室の椅子一つとっても長さや色の対応まで、採血に直接的に関わらないところまで要望を聞いてもらいました。一緒にいいシステムを作っていっているという一体感が得られたのが、他社にはないところでした。
山口様
メールなどのやり取りもスムーズで、こちらの細かい要望にも応えていただきました。また採血室内での採血台の設置場所も検討させてもらいました。狭い採血室の中でどのように置いたら一番広く使えるかなどを一緒に考えながらやりました。採血台の配置が直線だと入らなくて。
クリエイト
美根
そうですね。あれは一緒に考えて、採血台の配置に少しカーブをつけましたね。
新田様
あのカーブは感激しました。こういう置き方があったのかと。
クリエイト
美根
さまざまな条件がある中、充実した採血室を作るのはなかなか難しいのですが、少しでも患者様と職員様が効率よく動けるような導線を考え、かつ、たくさんの採血台が置けるようにと扇状のレイアウトをご提案しました。
当社をお選びくださった一番のポイントはなんでしょうか。
新田様
採血業務指標化システムを導入している施設の見学に行った看護師から、とてもよかったと聞きまして、これが大きなポイントになりました。見学に行った職員の話からシステムの機能面の話も聞き、これを使いたいという気持ちが大きくなりました。
山口様
私も見学は行っていないのですが、見学に行った看護師から実際にそのシステムを見て、その活用方法も聞き、とてもよくわかったと聞きました。
またその施設は検体数が非常に多い施設で、隈病院も検体数が非常に多いので、うちの病院でもぜひ使いたいと声が上がりました。
新田様
採血業務指標化システムの機能の一つである穿刺情報の収集機能は、なくてはならない機能です。医療安全面でもそうですが、スタッフの技術向上にとてもよいものです。自分自身の過去の穿刺情報を見ることで、前よりもうまくなっているなどの比較ができますので、スキルアップにはいい機能だと思います。
小林クリエイトは隈病院様の採血業務を支援するために、次のソリューションを提案しました。
指標化システムの導入
いつも患者様のことを第一に考えておられる隈病院様に、次のシステム更新時には当社として何が提案できるのかを検討しました。今回の指標化システムを提案するに際し、採血時の生きた情報から、次回採血時に安全に採血していただくことや、データからの業務改善、教育促進等指標化システムの先進的な機能をご提案しました。
採血表示照合システムの導入
- 採血待合フロアに採血の進行状況を案内する電子画面を設置し、患者様に順番待ち状況を案内。
- 採血台に患者様呼び出し用番号表示画面を設置し、番号による呼び出しで患者様のプライバシーを保護。
- 採血オーダーと採血管、そして患者様ご本人をバーコードで三点照合することで採血間違いを未然に防止。
- 臥床採血等固定された採血台以外での利便性向上のためにタブレット端末を導入。
採血管準備装置を2台導入し、バックアップシステムを充実
2台体制とすることで、万が一の機器トラブルにも対応。
システムダウン時の隈病院様での運用方法など、バックアップシステムを詳細に打ち合わせ、充実。
システムトラブル時における小林クリエイト側のリモートメンテナンスでの対応を提案
万が一のトラブル時に早めのリカバリー対応が可能。
天板跳上電動昇降採血台の導入
緊急時に看護師がすぐにフォローできるよう、すべての採血台を天板跳上型モデルの電動昇降台に変更導入。
患者様の身長に合わせて採血台の高さを調節でき、採血時の安全な体位を確保。加えて作業を行う看護師の体の負担を軽減。
採血室のレイアウト改善
採血室を効率的かつ採血待ちの患者様への誘導をスムーズに行うため、採血台を扇形に配置。これにより、患者様がお互いに目を合わせず、看護師が採血管を準備しやすい動線となりました。
天板跳上電動昇降採血台の導入をしたことで、緊急時や閑散時に天板を跳ね上げ、職員移動動線を確保。
弊社と協業する中で、お困りごとや笑い話があればお聞かせください。
新田様
「i・pres(アイ・プレス)」の名称が病院内で浸透したことが私の中では一番ですね。2010年の導入から2~3年間はi・pres(アイ・プレス)の名称が病院内で浸透しなかったのですが、今ではインシデントレポートも正しい機器名で記載されています。
クリエイト
美根
今回のシステム更新の際に、外来患者様の誘導に対しまして、外待合の誘導用画面の増加などいくつか改善案をご提案させていただきましたが、今現在その必要はなくなりましたか?
山口様
現在は、待合で患者様を長くお待たせすることはないですね。待ち人数が表示されていますし、検査業務改善により、採血する本数が減ったことなどから採血時間も減り、スムーズに流れていると思います。
新田様
中待合を作ったことが大きいですね。そろそろかなと思ったら、誘導システムで外待合から中待合に一旦患者様が誘導され、その後検査室へ誘導できます。患者様が滞留しないような案内ができています。
クリエイト
美根
他の施設様も中待合の重要さは考慮されています。しかし、隈病院様のように呼び出しシステムを用いてリアルタイムに患者様を誘導している施設様はまだまだ少なく、これからかなと感じます。
新田様
そうですね。近隣の病院様でも、外来で呼び出しシステムを導入しているところはあまり聞きませんね。ですから羨ましがられます。私たちは当たり前のように患者様を誘導しておりますが、2,000人ほどの外来患者様を抱えてらっしゃる病院様でも、そこまでのシステムを導入することは難しいと仰られます。私たちにとってはありがたいシステムです。
隈病院様では従来、採血業務は看護師様が中心に行われてきましたが、臨床検査技師の先生方も業務にあたられるようになりました。このことは、病院様にとっては大きな決定かと思いますが、いかがでしょうか?
新田様
採取後の検体の扱いについては、検査技師さんが一番正しく取り扱えます。
検査のプロですので、検体の取り扱いがとても丁寧です。隈病院は甲状腺専門の病院で、血液データは医師の診療・診断にとても重要なため、大事な検体を正しく安全に扱いたいという気持ちがあり、検査技師さんも一緒に採血にあたることになりました。
秦野様
検体の取り扱いについては、検査技師が一番よくわかっていると思います。
血液一般のスピッツに対しても、検体は泡立ててはいけないとか、凝固しないように混ぜる方法など注意するポイントがありますので、そういった情報を看護師と共有していきたいと思っています。
弊社が提供している採血業務指標化システムは、第一ステップは採血困難患者様の判定を導くもの、第二ステップは職員様の力量評価と患者様とのマッチングを図るものと位置づけています。隈病院様では、第一ステップのシステムをご利用になられていかがでしょうか?
山口様
システム上、患者様の採血難易度を5段階に分けるのですが、看護師による患者様の状態とシステム上の難易度が合致しないことがあります。まだ始まったばかりでもあり、運用方法を検討している段階です。
新田様
隈病院の患者様は比較的血管の状態が良い患者様が多く、難易度は「易しい」と判断することが多くなります。
秦野様
初めて採血業務にあたる検査技師は、どのような患者様が来られるのだろうと気になります。しかし、システムに患者様の情報が蓄積されているおかげで、採血時には患者様の過去データを一覧で見つつ、実際に患者様の血管の状態を確認することで、安心して採血をすることができます。今後も検査技師が次々と採血にチャレンジしていく上で、システムデータを活用していきたいと思います。最終的に検査技師全員が採血業務を行うようになったら、学会で運用方法を発表してほしいと思っています。
山口様
難易度が高い患者様には看護師が担当し、難度が低い患者様は検査技師さんにお願いしています。事前に患者様のデータをみてその難易度に合わせて担当分けができているため、患者様が席に着かれてから担当者の技量により交代することはありません。
また患者様からの針の細さの希望なども入力でき、誰でもわかるようになりましたので、患者様の要望に沿ったサービスが提供できるようになりました。
クリエイト
美根
採血業務指標化システムは、病院様の特性や看護師様の技量により、システム上の分類とご担当者様による分類では若干違いが生じることがあります。病院様の特性に応じていい面・悪い面が出てくる場合もあるかと思いますが、今後はご意見をいただきながら、システムを成長させていけたらと思います。
新田様
このシステムは費用対効果を考えても、とても有効なものと思います。
私は看護部長であり安全管理を行う立場として、合併症が起きたときのことを考えた場合、採血時の客観的で正しい情報がより詳しく残っていることが大事だと考えます。通常、そのような記録を後から収集しようとすると莫大な時間とコストがかかります。ですから、このシステムで採血時の全員の正しい情報が蓄積できるということはとてもメリットがありますね。
採血というのは侵襲がある検査ですので、いざ、合併症が起こったときの対処を考慮すると導入すべきだと感じております。まさにリスク対応ですね。他の施設の看護部長が来院すると必ずこのシステムをご覧いただいています。ご覧になられた方はみなさんビックリされます。
タッチパネル(穿刺情報入力)の運用はいかがですか?
山口様
タッチパネル(穿刺情報入力)の操作はスムーズにできます。導入時は、採血後に入力しないといけないため、負荷を心配しておりましたが、まったく影響はありませんでした。
クリエイト
美根
このシステムをご紹介すると(感覚的なご意見として)、採血時の情報入力については、その負担を心配され、これ以上できないと難色を示されるケースもあります。私たちは病院様の不安を払拭するため、操作の容易性、重要性などをお伝えしています。
新田様
隈病院では、システム導入をきっかけに外来の採血業務の担当者が採血のみに集中できるよう、業務面と環境面を整理しました。物品補充や患者様の案内をするスタッフを採血業務以外のスタッフが行うことで、一人の看護師があれもこれもしなければならない状況から採血業務のみになり、煩雑さがなくなりました。
クリエイト
美根
採血業務指標化システムは、病院様の業務改善にも役立てていただきたいと考えております。病院様の業務の棚卸しや見直しを行っていただくことで、業務の運用や環境面含めプラスの方向に進めていただけるのではと考えています。
新田様
そういった面では、とてもよくなっていると感じています。
山口様
現在、システムの入力項目についてもレベルが正しく出るように検討しまして、小林さんにリクエストを出しています。
採血時の入力はタブレットでも行えますが、使い勝手はいかがでしょうか?
新田様
タブレットはいいですね。臥床採血の場合も、タブレットを用いて簡単に入力ができています。
クリエイト
美根
私どもはいろいろな病院様や施設様から、臥床採血時に情報参照やデータ入力できないかという課題をいただいておりました。タブレット端末は、無線LANやセキュリティ対策により使用できる環境があれば、ご利用いただけます。今後はさらに持ち運びや、取り扱いが楽な携帯端末などでの運用を検討していきたいと考えています。
山口様
負荷試験の際は、ベッドで採血した後、採血台の端末まで移動してのデータ入力を繰り返していたのですが、現在は手元のタブレットを用いて、ベッド横で入力できるようになりとても楽になりました。
クリエイト
美根
採血室以外、たとえば診療科や処置室、入院病棟などでも情報の参照などでタブレットを使用いただけると、効果が上がるのではと思います。
新田様
今回、看護師と検査技師さんと共同でマニュアルを作成したことで、以前看護師が作成したマニュアルの誤っていた箇所がわかりました。また、検体の取り扱いについても適切な取り扱いができるようになりました。
山口様
検査技師さんによる採血は始まったところなのでこれからという点が多いですが、検査技師さんに手技を教えるために看護師も勉強会に行ったりしています。逆に検査技師さんからの学びもあり、お互いによかったと思います。
新田様
外来の看護師が検査技師さんに対し熱心に指導したことと、検査技師さんも真剣に取り組む姿勢がみえて、お互いに頑張ろうと一体感が感じられました。 当病院では看護師と検査技師ではきれいに業務がわかれていました。看護師の業務を検査技師さんに分担することで、看護師に余剰時間が生まれます。将来は余剰となった時間は本来看護師にしかできないこと、たとえば患者様に対して行うケアやお世話の仕事などに移行できたらゴールだと思います。
小林クリエイトにメッセージを!
秦野様
検査技師としては今からだと思います。
山口様
指標化システムのレベルの分類がうまくいっていないので、今後、それがよくなっていくといいかなと思います。
新田様
ユーザーの要望に応えようとされる姿勢と、ともに作り上げるという姿勢を今後も続けてください。
ご協力ありがとうございました。
小林クリエイト
- 美根 眞一
- 医療推進部 医療企画課 エキスパート
当社のことを「パートナー」として表現してくださる病院様と、業務改善、改革に向けて、一緒に取り組んで行くことに感謝しています。採血業務指標化システムを更に進化させ、隈病院様と共に当社も成長できると確信しています。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
- 田中 康文
- ヘルスケア営業部 大阪営業課 係長
「ユーザーの要望に応える姿勢と共に作り上げていく姿勢を今後とも続けてください」というコメントは、当社が採血業務ソリューションを取り組むうえで一番忘れてはいけない姿勢です。当社を応援していただけるユーザーがいることを大いに自覚して、今後ともよいものを提供していきたいです。