【自動車産業ニュース】CO2規制、推し進められる電気自動車に注目
さまざまな業界に影響を及ぼしている半導体の不足は、日本の基幹産業のひとつでもある自動車産業にも強く影響を及ぼしているようです。本書では、業界紙において注目されている自動車産業のニュースを紹介します。
欧州35年CO2規制、100%削減 エンジン車販売禁止へ
2021年の7月14日、欧州委員会は自動車の走行中に関するCO2の排出規制を強化する法案を発表しました。
法案では、2035年までのCO2を100%削減することが記されており、従来の55%削減から大幅な引き上げがされた形となりました。事実上、エンジン車の販売を禁止するものとなることから、電気自動車の普及を推し進める狙いがあるとされています。
この法案は、今後数ヶ月の間に欧州議会などで審議された後、EU法として制定される見通しです。
参考:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/10807/?i_cid=nbpnxt_ranking
本当にトヨタは「EVに消極的」なのか?
カーボンニュートラルに向けた動きはさまざまな業界で進んでおり、自動車業界においては電動化が中心となると考えられている方も世間的(非業界の方など)には少なくありません。このような世の中の認識に当てはめると、トヨタ社は、いわゆる純電気自動車への取り組みは積極的でないため、電動化への取り組みも積極的でないと思われるかもしれません。
しかし、トヨタ社のプラグインハイブリッド車(PHEV)、バッテリーEV(BEV)、燃料電池自動車(FCV)などの電動化車両は計55車種となり、電動化に積極的であると言えますし、2025年までには15車種のBEVを導入するとも発表しています。
このように、トヨタは積極的にEVを販売していく体制を整えつつあり、「いかに電動化車両を出すか」「いかにビジネスとして成立させていくか」についても、より深く考えられているようなのです。
さらに、豊田章男社長が「パワートレインにはユーザーの動向や地域特性を鑑みたさまざまな選択肢があるべきだ」と話していることからも、トヨタ社は、単に全車両の BEV 化を目指しているのではなく、顧客のニーズや環境に合わせた選択肢を増やしつつ、カーボンニュートラルの実現に向かっていることがうかがえます。
参考:https://toyokeizai.net/articles/-/439467
車載品の不足続く中、半導体の世界売上高が過去最大に
2021年7月6日、米国半導体工業会( SIA )は 2021年5月の半導体世界売上高が前年同月比26.2%増の 436億ドルとなったことを発表しました。
5月の半導体売上は月間売上高として過去最高を記録したことから、半導体の需要が伸び続けていることがわかります。
参考:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/10775/
トヨタ、AI とカーボンニュートラルの2本立てでベンチャー育成を支援
2021年6月3日、米Toyota AI Ventures、Toyota Venturesに社名を変更し、新たにカーボンニュートラルに取り組むベンチャー向けのファンド「Toyota Ventures Climate Fund」を設立しました。
今回のファンドは CO2 削減を加速させるトヨタの取り組みの一環で、再生可能エネルギー、水素の製造・貯蔵・物流、 CO2 貯留をはじめとした領域のベンチャーを支援するとは発表されています。また、資金だけではなく、戦略支援・サポートやトヨタの有する製造部門、サプライチェーンなどのノウハウも提供することもあると発表しました。また、従来のAI領域などへの投資も継続的に行われるようです。
参考:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/10543/
SDGsに積極的な企業は39.7%、前年より大幅増加
SDGs ( Sustainable Development Goals : 持続可能な開発目標)は世界共通の目標として掲げられ、多くの企業が意識するキーワードとなりました。帝国データバンクが、SDGsに関する企業の見解について調査したところ、 SDGs に積極的に取り組む企業は39.7%で、前年の24.4% よりも15.3ポイント増加しSDGsに対する企業の取り組みや意識は前年より大きく拡大しているようです。
また、企業の規模別に見ると小規模企業31.6%と中小企業が36.6%程度であるのに対して、大企業は55.1%と他規模の企業と比べると大きい割合となっていることがわかりました。
取り組めていない企業が過半数であった中でも、何をどのように取り組むべきか判断できていないとうかがえる内容が目立ちました。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000322.000043465.html
国内景気、緊急事態宣言などで4ヶ月ぶりに悪化 ―2021年5月調査
株式会社帝国データバンクが行なった国内景気動向調査によると、2021年5月の景気DIは前月比0.8ポイント減の37.5となり、4ヶ月ぶりの悪化となりました。製造業の自動車領域関係を見ると、自動車部品などの「輸送用機械・器具製造」は0.1ポイント増加しており、「自動車・同部品小売」も0.3ポイント増加する結果となりました。完成車工場などで半導体不足による減産・稼働停止の影響が続くなか、米国・中国向けを中心とした輸出の回復傾向がプラス要因となりました。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000301.000043465.html
まとめ
経済活動全体としては景気悪化しているものの、一部自動車関連は微増する結果となりました。また、トピックとして多かったのはCO2削減に代表されるカーボンニュートラルに関する取り組みです。今後はCO2を削減したサプライチェーンづくりや製品づくりに注力する企業が多いという結果となりました。
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