下請法により適正化が求められる金型管理。
適切に行うポイントとは?

製造業の工程で欠かすことのできない金型は、自社と委託先の企業を行き来することが多く、所在把握が難しくなっているケースも少なくありません。委託先に無償で金型を保管させていると下請法違反になる可能性があることからも、適正な管理が求められています。
本記事では、金型管理を行ううえで押さえておきたい下請法の概要や、金型管理を適切に行うポイントを解説します。

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金型管理の重要性

金型が摩耗や汚れで劣化すると製品の精度が低下し、不良品が発生しやすくなるため生産ラインの停滞や納期の遅れにつながります。また、定期的なメンテナンスを怠ると突発的な故障を防げず、生産性低下や交換・修理のためのコスト増加を招くほか、故障に起因する作業員のケガのリスクも増えます。
こうしたリスクを低減するために、金型管理は非常に重要です。

金型は業務委託先の製造業者(下請事業者)との間を行き来することが多く、使用履歴や保管場所などの記録が煩雑になることから、下請事業者に管理を任せてしまっているケースも珍しくありません。しかし、管理を下請事業者に丸投げしていると下請法違反になる可能性があります。

下請法とは

下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者による下請事業者に対する不当な取り扱い(特権的地位の濫用)を防止するための法律です。
下請取引の公正化や下請事業者の利益を守ることを目的に制定され、独占禁止法を補完する形になっています。製造委託や修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託が規制の対象です。

下請法違反となるケースも

金型を下請事業者に無償で保管・管理させることは、下請法で禁じられている「不当な経済上の利益の提供要請」に抵触する可能性があります。

例えばある製造会社は、下請事業者に自社が所有する金型を貸与し、部品の製造委託をしていましたが、これを用いて製造する部品の発注が長期間なかったにもかかわらず、1年以上にわたって棚卸を含めた金型の保管を無償で行わせていました。
このことは「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」に該当し、下請法違反にあたるとして、公正取引委員会はこの会社に勧告を行いました。

このように、仮に意図的でないにしろ、下請法違反に該当すると判断される事例が近年増加しており、こうした背景から金型管理を適切に行うことがより重要視されています。

金型管理を適切に行うポイント

金型管理を適切に行うためのポイントには以下の3つがあります。

型管理運用マニュアルを参照する

金型管理は、経済産業省が公表している「型管理運用マニュアル」を参照することが基本です。型管理運用マニュアルに記載の方法で行うことで、下請法を遵守することにもつながります。

このマニュアルでは、素形材企業のヒアリングから得られた先進的な事例や新たな知見を基に、取組手順を「ルール化→データ化→共有化」の順にまとめており、それぞれについて取り組むべきことが詳細に記載されています。

特にデータ化やそれに基づく共有システム化が重要視され、「型の棚卸」「型管理台帳のデータ化」「台帳と型の照合」「型の使用状況に関する情報管理」といった手順が具体的に解説されています。これらを徹底することで、廃棄・返却に伴うデータの検索を迅速に行え、さらに最適な時期にメンテナンスができるようになるためムダな工数の発生を抑えられるなど、多くのメリットを得られます。

出典:経済産業省「型管理運用マニュアル」

金型の基本情報とショット数を可視化する

効率的な金型管理と品質維持のためには、金型の基本情報とショット数を可視化することが不可欠です。

基本情報やショット数を可視化する際には、後述するようにRFIDを活用した金型管理のシステムを導入することが効果的です。システム導入によって、各金型のショット数がPC画面に表示されるため、メンテナンスの必要がある金型を把握できるようになります。

金型のメンテナンスについては以下の記事をご覧ください。

金型の所在を把握する

金型は自社と業務委託先との間を行き来する間に所在がわからなくなりやすいため、所在を正確に把握することも重要です。人の手だけに頼る管理ではヒューマンエラーは避けられず現場の負担も大きいため、金型管理システムを導入して金型の貸し出し先情報や返却の有無をデータでみえる化する必要があります。

金型管理システムならPCやタブレットで手軽に金型の貸し出し状況や置き場を確認でき、目的の金型を容易に探せます。

金型管理の課題とその解決策については以下の記事もご覧ください。

適切・効率的な金型管理にはぶっぴんさんfor金型

適切・効率的な金型管理には、RFIDを活用したシステムの導入が効果的です。

小林クリエイトが提供する「ぶっぴんさんfor金型」は、金型の使用実績をハンディターミナルに入力することで、使用実績のデータ化・可視化を実現可能です。金型の持出時や返却時に使用場所・保管場所を登録すればPC・タブレット上で金型の所在確認が可能になります。また、ショット数の実績管理と台帳記録をハンディターミナルで行うことで実績をシステム上で記録でき、台帳入力の効率化にも貢献します。

※リーダーによるショット数管理は、「ぶっぴんさんfor金型」導入企業内でのみ可能です。委託先に金型を貸し出した際、ショット数管理は委託先次第となるため、委託先でのショット数を管理したい場合は、ショット数を報告してもらう必要があります。

ぶっぴんさんfor金型の詳細については、こちらの資料をご覧ください。

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