RFIDは高温環境で使用できる?
耐熱性能のあるRFタグについて解説

RFIDはさまざまな用途や場面で活用されており、高温環境で使用されるケースもあります。しかし、一般的なRFタグの耐熱性では高温環境で使用できない場合があり、耐熱性能のある特殊なRFタグを導入する必要があります。
本記事では、一般的なRFタグの耐熱性や、耐熱性能のあるRFタグの種類や使用されるケースを解説します。

一般的なRFタグの耐熱性
RFタグの耐熱性は用途や設計・素材等によって大きく異なりますが、一般的なRFタグに内蔵されているチップの耐熱性能(保存温度)は85℃程度です。
広く使われているパッシブタイプの場合、RFタグは紙やプラスチック基材で構成されており、一時的には100℃前後に耐えられるものもありますが、長時間の使用には耐えられません。
また、電池内蔵型のアクティブタイプは電池が高温に弱いため、長時間の高温環境にはさらに不向きです。
耐熱性能のあるRFタグが必要なケース
耐熱性能を持つRFタグは、通常のRFIDでは対応できない高温環境で使用する際に活躍します。
以下では、耐熱性能のあるRFタグが必要な具体的なケースをご紹介します。
製造現場(塗装ライン)
自動車部品や金属製品などのトラッキングや品質管理を行う場合、塗装や焼き付け処理を行う工程で、高温の乾燥炉(200℃前後)に製品が通されることから、高温環境に耐えられるRFタグが必要です。
要求される耐熱性としては、温度域は150~250℃、耐熱時間は10~60分程度です(使用する塗料の種類や製品の素材によって異なります)。
高温環境下でも機能を維持できる素材であることに加え、金属に取り付けられる「オンメタル対応型」であることも求められます。
金型管理
金型は精密かつ高価な資産であり、保守や使用回数、保管場所の管理が重要です。RFIDを金型に直接取り付けて履歴管理を行うことで、メンテナンス漏れや誤使用の防止につながります。
金型の清掃や予熱工程で高温になることがあるため、最低で150℃、理想的には250℃までの耐熱性が必要です。衝撃や摩耗に強い堅牢構造や、高温・油・水・粉塵に耐える産業用仕様であることも求められます。
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医療現場
手術器具や器材をRFIDで個別管理することで、誤使用防止・滅菌工程のトレーサビリティ確保が可能となります。医療現場では器材をオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)を用いて減菌するため、タグは高温かつ飽和水蒸気が発生する環境に耐える必要があります。
具体的には、121~135℃の高温・高圧蒸気(2気圧)に30分前後耐え得ることが必須です。高温・高圧・湿度耐性があることに加え、小型で丸洗い可能な完全密閉構造であることも求められます。
それぞれのケースをまとめると以下の通りです。
耐熱性能のあるRFタグの種類
耐熱性能を持つRFタグの主な種類には以下のものがあります。
セラミックタグ
ファインセラミックス素材を使用しており、耐熱性、耐水性、耐薬品性に優れています。セラミック素材は熱膨張や変形が少ないため、チップの保護に最適です。
高温環境や化学薬品を使用する現場や浸水する環境に適しており、長寿命でメンテナンス頻度が少ないことも特長です。
金属対応タグ
金属面での使用を想定しており、金属に直接取り付けることが可能です。耐熱性を備えており、金属反射の干渉を抑える設計となっています。耐熱だけでなく、防水性や耐衝撃・耐油・防塵性にも優れています。
金型管理、製造ライン、機械部品のトラッキングなどのシーンで活用されます。
特殊用途タグ
特定の過酷な環境向けに設計された高機能タグです。PEEK、PTFE、シリコン樹脂などを材料としており、温度・圧力・薬品・洗剤・蒸気・液体などに耐性を持つ、さまざまなタグが存在します。
医療分野(オートクレーブ)、食品加工ライン、製品洗浄工程(高温水、高圧スチーム)、ユニフォームなどのリネン(洗濯)などに使用されます。
耐熱性能のあるRFタグで適切な管理をしよう
ご紹介したように、RFタグには耐熱性能を備えたものがあり、素材、形状、温度耐性などの点で多様な種類があります。導入する際には、使用環境(温度、圧力、化学薬品の有無など)や目的に応じて適切なRFタグを選ぶことが重要です。
以下の資料ではRFIDリーダライタやRFタグの種類を一覧でご案内していますので、RFID導入にご関心のある方はぜひご覧ください。
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