工場の入退室管理で
セキュリティを強化する方法とは

工場ではさまざまな機密情報を扱っているため、セキュリティやコンプライアンスの観点から入退室管理を徹底することが重要です。しかし、セキュリティシステムに不備があるケースやリアルタイムでの監視・記録ができていないケースなど、入退室管理に課題を抱えている現場も少なくありません。
本記事では、工場の入退室管理でよくある問題や、入退室管理を徹底するための方法について解説します。

工場の入退室管理とは
工場の入退室管理とは、工場自体や工場内の特定のエリアに誰が出入りしたかを記録・管理することです。
出入りする際に手書きで名前や入退室時刻を記録するようなアナログな方法もありますが、ICカードや生体認証システムなどによって自動的に記録が残るようにする方が効率的であり、広く導入されています。
入退室管理を徹底することで、「誰が」「いつ」「どこに」出入りしたかが正確に記録され、セキュリティを強化できます。
工場の入退室管理の重要性
工場の入退室管理は、以下の観点から非常に重要です。
・セキュリティ対策:
工場には製品設計図や製造ノウハウなど、さまざまな機密情報があります。サイバー攻撃が多様化・複雑化し、国際的な競争も激化する中で、そうした情報は常に狙われています。それらを保護するため、内部不正や外部からの侵入(ネットワークを通じた侵入と物理的な侵入の双方)を防ぐことは必要不可欠です。
入退室履歴を自動記録することで、トラブル発生時の迅速な原因究明が可能になるため、効果的なセキュリティ対策になります。
また、物理的な鍵では複製のリスクがありますが、ICカードや生体認証など、複製が困難な方法を採用することで盗難リスクを低減できます。
・コンプライアンスの遵守と内部統制:
近年は、サプライチェーンを構成する取引先から要求されるセキュリティ対策のレベルが高まっており、それに応える上でも入退室管理の徹底は重要です。個人情報保護法や内部統制などの点からも入退室データの適切な管理が求められています。
入退室データの管理を徹底することで内部不正の抑止効果も期待でき、企業の信頼性向上につながります。
工場の入退室管理の問題点
工場の入退室管理では、以下のような問題がよく見られます。
セキュリティの不備
IDカードの貸し借りや盗難により第三者が不正に入室するケースや、1人が認証を通過した際に後続者が一緒に入室するケース(いわゆる「共連れ」)があります。また、退職者や異動者のIDが無効化されておらず、退職・異動後もアクセスできてしまうために情報漏洩や盗難などが発生するリスクもあります。
リアルタイムでの監視・記録の欠如
入退室のログがリアルタイムで把握できないと、緊急時に社員の居場所が正確にわからないため、スムーズな救助や避難誘導が困難になります。また、リアルタイムでの監視ができない場合、従業員のセキュリティ意識が低下し、不正行為を誘発する可能性があります。
紙での記録や手動管理の場合は履歴の正確性が欠け、記録ミスや改ざんリスクが高まることも課題です。
ゾーンごとの管理の煩雑さ
工場には製造エリア、危険物保管庫、クリーンルーム、研究開発室、事務所などさまざまなエリアがあり、それぞれ入室要件が異なります。また、従業員、外部業者、来訪者など、異なる属性の人々に対して個別のアクセス権限設定が必要ですが、こうした複雑な入室要件の設定やアクセス制御が課題となります。
例えば、許可された作業者のみ入室すべきエリアに、誤って他の従業員や部外者が立ち入ってしまうリスクが考えられます。
システムの老朽化
古い入退室管理システムでは、顔認証や生体認証などのセキュリティレベルの高い認証技術が利用できない場合があります。多拠点展開や人員の急増に対応できないなど、スケーラビリティや柔軟性が低いことも少なくありません。
また、老朽化により保守や修理に時間がかかり、運用効率が低下しやすい点も課題です。
工場の入退室管理の方法
では、工場の入退室管理を効率的かつ正確に行うためにはどうすればよいのでしょうか。
よく利用される方法を解説します。
ICカードによる認証
ICカードを利用して入退室を管理する方法です。カードをリーダにかざすことで認証が行われ、扉が解錠されます。
・メリット:
-複製が困難でセキュリティ性が高い。
-入退室履歴を正確に記録できる。
-紛失時にはカードを無効化することで不正利用を防止可能。
・デメリット:
-カードの紛失や盗難への対策が必要。
-全従業員のカード登録が必要で、運用が煩雑になる場合がある。
暗証番号による認証
入室する際に暗証番号を入力して認証を行う方法です。
・メリット:
-カードやデバイスが不要で、簡易的に導入可能。
-一時的な訪問者にも対応しやすい。
・デメリット:
-暗証番号の漏洩リスクがある。
-定期的な番号変更が必要で、管理が煩雑になる場合がある。
生体認証
指紋、顔、虹彩などの生体情報を利用して認証を行う方法です。
・メリット:
-カードや暗証番号が不要で、紛失のリスクがない。
-なりすましや共連れを防止できる高いセキュリティ性がある。
-衛生管理が求められる食品工場では、マスクを外さずに認証可能な虹彩認証の導入メリットが大きい。
・デメリット:
-初期導入コストが高い。
-認証速度が遅い場合があり、大人数の管理には不向きな場合もある。
スマートフォンアプリ認証
スマートフォンアプリを利用して入退室を管理する方法です。アプリを通じて認証を行い、扉を解錠します。
・メリット:
-カードの発行が不要で、運用コストを削減できる。
-遠隔で入退室権限の変更が可能。
・デメリット:
-スマートフォンなどのデバイスを持ち込み禁止のゾーンでは使用できない。
-工場の従業員がスマートフォン自体やアプリの操作に慣れていない場合、運用の浸透に時間がかかる可能性がある。
工場の入退室管理の正確性を向上させるには
工場の入退室管理の正確性を向上させるには、まずは本人確認の厳格化が重要です。
従来のICカードによる認証は貸し借りや盗難のリスクがあるため、顔認証や指紋認証などの生体認証技術の方が望ましいでしょう。また、入退室の情報をリアルタイムで記録・監視できるシステムを導入することで、不正侵入や記録漏れのリスクを低減できます。
特に有効な方法の1つが、RFID技術の活用です。RFIDは非接触での読み取りが可能であり、従業員がゲートを通過するだけで自動的に入退室記録を取得できます。これにより、人為的な記録ミスや抜け漏れを防ぎ、記録の正確性が大幅に向上します。
ICカードの場合、一人が解錠すると同時に複数人が入退室できるため、記録が曖昧になる恐れがあり、ルールや運用方法を工夫する必要があります。一方で、RFIDは暗号化が可能で情報の複製が困難であるため、入退室の権限を持たない第三者・部外者の侵入を防ぎ、セキュリティレベルの強化を実現することが可能です。
また、ICカードと異なり読み取り速度が速く、正確性の向上だけでなく混雑の緩和や業務効率の向上にもつながります。さらにRFIDリーダライタとRFタグのみで運用できるため、生体認証技術よりも安価に導入でき、コスト削減にも貢献します。
工場の入退室管理にRFIDを活用してセキュリティを強化しよう
工場の入退室管理には、ICカード、生体認証、スマートフォンアプリ認証、暗証番号などの方法があり、それぞれメリットとデメリットがあるため、工場の規模や目的に応じて適切なものを選択することが大切です。
その中でも、コストを抑え、セキュリティレベルや正確性の高い入退室管理を実現するにはRFIDを活用することが効果的です。
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