【導入インタビュー】
棚卸における手書きの工程をシステム化。ヒューマンエラーを防止し、棚卸作業時間が約40%短縮。
名古屋市に本社を構え、メラミン化粧板などの建装建材の製造・販売を中心に事業を展開しているアイカ工業株式会社。
棚卸作業に膨大な時間がかかる課題を解決するため、棚卸業務システム・在庫ラベル発行システムを導入したところ、それまで相当の労力をかけていた棚卸作業時間を約40%短縮し、ヒューマンエラーをほぼゼロにすることができました。
今回はシステム導入の経緯や導入後の効果について、導入を担当された同社名古屋工場 生産第三課の浅山様にお話をお伺いしました。
■ 手書きの棚卸帳票によりミスが頻発。
会社から棚卸の時間削減の指令もあり、
システム導入を検討
――まずは御社の事業概要と、浅山様の所属する部署の業務内容について教えてください。
アイカ工業は「化学とデザインの融合」を掲げ、商業施設・オフィス・教育施設などで使用する建装建材の製造・販売をメインに手掛ける化学メーカーです。メラミン化粧板は国内シェアナンバー1を誇り、合板用や工業用の接着剤、建設樹脂などの開発も得意としています。
私が所属している部署は、名古屋工場の生産第三課の梱包部門です。同部門では、お客様からのオーダーに合わせて製品を梱包し、配送便ごとに分けて出荷時間に間に合うように物流部門に引き渡しています。私は梱包部門全体の流れを把握し、物流部門にお渡しする時間が遅れる場合の調整や、営業部門から急なオーダー変更があった場合の対応などを担っています。
――今回は棚卸に関するシステムを導入されましたが、システム導入前にはどのような課題がありましたか?
システム導入前は、棚卸帳票にパレット番号、サイズ、品番、劣化評価といった項目をすべて手書きで記入していました。帳票への記入が一通り終わるとダブルチェックするのですが、やはり人の書いた字は書き間違いや読み間違いが多く、ミスがなくなるまで2回、3回とダブルチェックすることも珍しくありませんでした。棚卸後には査証が入るのですが、査証員からいつも「手書きの字が見にくい」と指摘を受けていましたね。
査証が終わったあとには実棚とSAP上のデータを処理し、その際に生産企画部が棚卸帳票の内容をパソコンに入力します。しかし、手で書いたものを入力するので文字や数字を読み間違えて誤入力することがよくありました。さらに、パソコンへの入力も手で行っていたため余計に時間がかかり、生産企画部が本来やるべき仕事が後回しになってしまうことも課題でした。
このように手入力自体の時間や、ダブルチェックの手間などが膨大であったため、実は3年ほど前から、会社から「棚卸作業の日数短縮」という命題を課されて、システムの導入を検討し始めました。
■ 小林クリエイトの「モノづくりへの理解力の高さ」がベンダー選定の決め手に
――システム導入にあたり、小林クリエイト以外のベンダーは検討されていましたか?
偶然同じ時期に、生産第三課と生産企画部それぞれで自部門業務の効率化のために別々のベンダーにシステム検討を依頼していました。私どもとしては、手書きだった帳票記入をタブレットでできるようになれば良いと思っており、生産企画部は自分たちの入力業務がなくなったら良いと思っていたようです。私は生産企画部の担当者に、同じベンダーで進めた方が効果が出るのではないかと話をつけて、途中から小林クリエイトに一本化し、生産企画部と協力して導入を進めていきました。
――生産企画部様が検討していたベンダーではなく、小林クリエイトを選んだ理由や決め手について教えてください。
理由の1つは、もともとOCRや伝票払出しシステムに関して、小林クリエイトでの導入事例があったことです。
また、御社の営業担当の方とはもう5年ほどお付き合いがありまして、その間にアイカ工業のモノづくりを理解していただいたという理由もあります。アイカ工業の化粧板は特殊な作り方をしているもので、初めての方と何年もお付き合いのある方では理解する速度が違います。初めての方とでは言葉のキャッチボールに時間がかかるということですが、御社の営業担当の方はこの5年間で一生懸命勉強されていたので、スムーズにコミュニケーションがとれました。
そこでいろいろと意見交換して、生産企画部が検討していたベンダーと小林クリエイトを比較したときに、肌感覚で小林クリエイトの方が良いなということになりました。
■ 「システム部門との連携」や「半導体不足」による思わぬ苦労の末に導入
――実際にシステムを導入する際に苦労した点などはありましたか?
初めて導入する仕組みでしたので、SAPとの連携の必要性や、弊社の名古屋工場内で情報システム部門の了解を得ないといけない領域もありました。そうしたところに時間がかかったので、導入の希望時期に間に合わない可能性があったのですが、御社のシステム担当の方に頑張っていただいたおかげで間に合いました。
あとは、タブレットやスキャナについては半導体が不足していることもあり、選定が遅かったら確保できなかった可能性もあったのですが、御社の営業担当の方にすぐに動いていただきました。このように、御社のシステム部門や営業担当の方の努力で何とか導入が間に合ったので、本当に感謝しています。
■ 高齢の作業者でも操作しやすいよう工夫したことで、システムへのスムーズな移行を実現
――手入力からシステム導入への移行はスムーズにいきましたか?また、導入にあたり工夫された点もあればお伺いしたいです。
梱包部門は80名ほどの人数なのですが、社員は私を含めて4名で、あとは請負会社の方なんです。請負会社の社員さんは高齢の方が多く、当初は「俺がこんなもんできるかな」という声もありました。ですが、最初に何度かデモンストレーションをやったことで慣れていきました。
また、タブレットに映る秒数を長くしたり、キーボードの数字を大きくしたりと、高齢の方でも使いやすいような工夫も施しました。こうした工夫もあり、当初はシステム導入に懐疑的だった方も「意外とやってみるといいね」と言っていただけるようになりました。
――高齢の方でも字が見やすいよう工夫したとのことですが、そのほかにシステムの中でこだわった部分はありましたか?
会社の中で内部統制というガバナンス上の仕組みがあり、たとえば管理者を決めたり、改ざんできないようにしたりするなど、内部統制に準じた厳しい基準で作り上げないといけませんでした。こうした点も親身に相談に乗っていただき、仕様を決めることができたので良かったですね。
■ システム導入後、ヒューマンエラーは
ほぼゼロに。棚卸作業の時間は約40%短縮
――導入後の定量的・定性的な効果についても伺いします。手書きであるがゆえにミスが起きやすいとのことでしたが、導入後にヒューマンエラーは削減されましたか?
システムの導入により、棚番に二次元コードをつけ、スキャナで二次元コードを読み込む形になりましたので、ヒューマンエラーはほぼゼロになりました。ダブルチェックに関しても、今までは作業ミスが原因で2回、3回と確認していたものが、1回で済むようになりました。
――ミスが大きく削減されたのですね。作業時間としてはどのくらい短縮されたのでしょうか?
伝票1行あたり19秒ほど短縮できるようになりました。こうした時間短縮とヒューマンエラーの削減の結果、棚卸の作業効率が向上し、棚卸時間を約40%削減することができました。棚卸作業時は出荷業務を停止しなければならないので、大きな成果です。
また、今は16台のタブレットを2人1組で使っているので合計で32人の作業者が必要なのですが、将来的には1台あたり1人で作業を行えるようにすることで、人件費削減につなげたいです。
――最後に、導入されたシステムに関して今後の展望がありましたら教えてください。
棚卸を実施する度に、2つ3つ、こういうシステムに変えてくれないかとか変更してくれないかという意見が現場から出ています。僕らはもう完璧だと思ったのですが、作業者としては修正したときのデータの残り方とか、細かいところを直してほしいという声があります。それは依頼をかけて、今度の決算までには対応していただけるようです。今後も、またそういう意見が出るかもしれませんので、システムをより使いやすくブラッシュアップしていければと思います。
また、まだ棚卸を手作業で行っている工場もあるので、システムの導入を順次進めていく予定です。今年の7月か8月に導入予定の拠点が1つあり、今期中(来年3月まで)に導入予定の工場も2拠点あります。
また、関連会社などから「どんなシステムを使っているの?」「紹介してほしい」と言われることもありますので、またぜひご相談に乗っていただければと思います。
――会社全体として、お願いできる部分は今後もぜひご相談したいということですね。本日はありがとうございました。
本事例にてシステムの提案・導入の支援を行った小林クリエイトは、長年、自動車関連業界をはじめとした製造業界全般で、業務効率化・コスト低減など現場改善のプロフェッショナルとしてサポートしている企業であり、その分野で培った豊富なノウハウを基にお客様に合わせた適切な支援をいたします。
小林クリエイトについてご興味のある方はぜひご相談ください。
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(画像左)小林クリエイト株式会社 中部営業部 名古屋第二営業課 石川 将基 氏
(画像右)アイカ工業株式会社 建装・建材カンパニー 生産統括部 名古屋工場 生産第三課リーダー 浅山 眞行 氏