仕掛品管理の重要性と
RFID導入による改善方法とは?
製造前の部品や製造後の完成品に比べ、製造途中の仕掛品は在庫管理が難しい傾向があります。仕掛品は適切な在庫管理ができていないとさまざまな悪影響が生じるため、どのように管理するかが問われます。本記事では、仕掛品の管理の重要性や、RFIDの導入による仕掛品管理の改善事例を解説します。
仕掛品の在庫管理の重要性
製造現場では多くの製品や原材料の在庫を扱いますが、その中でも仕掛品(しかかりひん)の在庫管理は重要です。本章ではまず、仕掛品の概要や仕掛品の在庫管理が重要な理由について解説します。
仕掛品とは?半製品との違い
仕掛品とは、製造途中の製品のことを指します。加工や組み立てといった工程を経ることで、はじめて製品として販売できる状態になるモノです。
仕掛品は企業会計における棚卸資産の1つであり、原材料に少しでも加工を加えていれば仕掛品として扱われます。なお、仕掛品という名称は「仕掛かっている」という言葉に由来します。
仕掛品と似た概念として「半製品」があります。半製品は仕掛品と異なり、加工の工程を終えている、貯蔵中の製品のことです。完成前の製品である点はどちらも同じですが、仕掛品はそれ自体では販売できないことに対し、半製品はそのままの状態でも販売できる点が異なります。
自動車製造業を例に挙げると、工場の製造ラインで組み立てられている最中の車両は仕掛品であり、組み立てや表面処理など全ての工程が終了した状態の車両は半製品にあたります。
仕掛品の在庫管理が重要な理由
仕掛品の在庫管理は、キャッシュフローを改善するために重要です。仕掛品の在庫は、適切に管理しなければ滞留が発生しやすくなります。仕掛品はそのままでは現金化できないため、在庫を多く抱え滞留してしまうとキャッシュフローの悪化につながります。そのため、仕掛品の在庫管理は適正化することが重要です。
仕掛品における在庫管理は、決算で正確な製造原価を算定するためにも重要です。決算では、製造原価報告書において製造原価を明らかにしなくてはならず、期首仕掛品棚卸高と期末仕掛品棚卸高を求める必要があります。その際に、仕掛品の在庫を正しく把握しておかなければならないため、仕掛品の在庫は正しく管理することが重要です。
仕掛品をはじめ、製造現場での在庫管理の方法やポイントなどは以下の記事で詳しく解説しています。
仕掛品の在庫管理が
できていないことによる影響
仕掛品の在庫管理が適切に実施できていないと、以下のような悪影響が生じます。
生産効率の低下
仕掛品の所在を正しく把握できていなかった場合、作業時間のロスが生じ、現場の生産効率が低下します。例えば、前工程で遅延が発生していたとしても検出が遅れてしまい、後続の工程が遅延するケースがあります。
また、仕掛品の置き場所に他のモノがあふれていると、本来の置き場所と異なる場所に仕掛品を置いてしまう恐れがあります。その場合、ピッキング作業で仕掛品を探す余計な時間や手間が発生します。
資産のロス
過剰な仕掛品在庫を抱えていると、資産のロスも発生します。
仕掛品は企業会計において資産に分類されるため、課税対象です。したがって、仕掛品在庫が増えると課税額も多くなります。
また、製造自体を停止することになった場合は、仕掛品も廃棄することになります。その場合、仕掛品に使用された資材費や、機械の稼働・作業員の労働時間などのコスト損が生じるほか、本来、製品となり販売されるはずだった仕掛品の販売機会も失うため、在庫が多いと経済的な損失が多く発生しやすくなります。
品質の低下
仕掛品の先入れ先出しを徹底できていない場合は、劣化した仕掛品が在庫に蓄積されるため、製品の品質低下も招いてしまいます。
品質が低いと市場で受け入れられにくくなるため、企業経営にも悪影響を及ぼします。また、製品の品質が低下した状況で品質維持のために再検査を行う場合、その分の手間とコストがかかってしまいます。
先入れ先出しを適切に行う方法については以下の記事で詳しく解説しています。
仕掛品の在庫管理を改善するうえでは、RFIDの導入が役に立ちます。次章では、仕掛品管理にRFIDを導入する方法やその改善効果を具体的にご紹介します。
RFIDの導入による仕掛品の在庫管理の改善事例
RFIDとは、自動認識技術の一種であり、対象物に取り付けられたRFタグの情報を、専用のリーダーで読み取る仕組みのことです。仕掛品管理においてRFIDを活用すると、以下のような改善を行うことができます。
- 仕掛品の置き場所を正しく把握できる
仕掛品置き場・仕掛品の現品票にRFタグを貼付し、収容時にハンディターミナルで読み取るようにすることで、システムに現品票と棚番情報を紐付けて登録されるようにします。
こうすることで、どの場所にどの仕掛け品を置くべきかが明確になり、仕掛品の置き間違いを防止できたり、ピッキング時に置き場所を探す手間を削減できたりします。それにともない、生産効率の向上も期待できます。 - 仕掛品の移動状況を正しく把握できる
また、仕掛品にRFタグを付与し、工程の入口にRFIDゲートを設置します。こうすることで、ゲートを通過した際にロケーションがシステムに自動入力されるため、移動した仕掛品の数量や移動先の情報が分かるようになります。
その結果、製品完成までの期間が長い場合でも工程の進捗状況や仕掛品のロケーションを容易に把握・管理することが可能です。
RFIDを活用した在庫管理のメリットや、その他の活用方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
仕掛品は、適切に管理できないと現場の生産効率や製品品質の低下につながるほか、決算時の製造原価の算定に支障を来すなどの課題も発生します。しかし、RFIDを活用し、ロケーションや製造の進捗状況を把握しやすくすることで改善が可能です。
小林クリエイトでは、RFIDを活用した現場改善を幅広くご支援しています。仕掛品の在庫管理をはじめ、RFIDで改善可能な業務や解決できる課題については、以下のページをご覧ください。
また、下記の資料では、RFIDの導入効果を最大限引き出すためのポイントを、チェックシート形式でご紹介しています。RFIDの導入をご検討されているご担当者様は、ぜひご覧ください。
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