RFID導入時に知っておきたい指標「RSSI」
とは?活用方法や注意点をご紹介
RFIDの導入時に知っておきたい指標として、電波の強さを示す「RSSI」があります。RSSIはRFタグとRFIDリーダーの距離によって値が変わり、特定のRFタグを読み取る際に役立ちます。
本記事では、RSSIの概要やRFIDにおけるRSSIの活用方法とその注意点を解説します。
RSSIの概要
RSSIとは、端的に言えば「電波の強さ」のことであり、RFIDを利用する際の重要な指標です。本章では、RSSIの概要をご紹介します。
RSSIとは
RSSI はReceived Signal Strength Indicator(受信信号強度インジケーター)の略称で、無線通信における信号の強さを示す指標です。アクセスポイントやルーターから送られてくる信号を、アンテナやネットワーク機器などのデバイスがどの程度受信できるかを測定します。
RSSIの測定値は「-65dBm」のようにマイナスで表記され、数値が大きいほど(=ゼロに近いほど)強度が高く、通信を行うのに適しています。
一般的に、2.4GHzの場合は-65dBm以上、5Ghzでは-60dBm以上で良好な通信速度を出すことができます。また、実用的な通信速度を実現する値としては、2.4GHz では-75から-66dBm、5Ghzでは-70から-61dBmとされています。
なお、スマートフォンやパソコンで表示される扇マークの形をしたWi-Fiアイコンは、このRSSIを視覚化したものです。
RFIDにおけるRSSIとは
RFIDにおけるRSSIは、RFIDリーダーとRFタグとの間の通信強度の指標のことです。より詳細に言えば、RFIDリーダーから送られた電波をRFタグが受信した信号強度の指標です。
RFIDリーダーとRFタグの距離が遠くなれば、RSSIの値は小さく、近くなれば大きくなります。
RSSIの活用方法
RFタグの受信した電波の強度を指すRSSIの値は、予めRFIDリーダー側の設定を行なうことでタグのデータと合わせて読み取ることが出来ます。
前述したように、RFタグとRFIDリーダーの距離が近づくにつれてRSSIの値は小さくなります。この性質を利用してRFタグとRFIDリーダー間の距離を推測することができます。距離によってRSSIの値が変わる性質を利用して、指定したRSSI値を持つRFタグをピンポイントで読み取ることで特定の距離の範囲内にあるRFタグを読み取ることが実現できます。
複数の情報をまとめて読み取れるのがRFIDのメリットですが、特定のRFタグのみを読み取りたい・特定のRFIDに情報を書き込みたい場合には、アプリケーションによりRSSI値の範囲を設定します。そうすることで、本来情報を読み取りたいRFタグとは別のタグの情報を読み込んでしまう、といった事態を防げます。
いわば、RFタグのフィルタリングに活用可能ということです。
このようにRSSIは特定のRFタグの読み取りに活用できますが、注意点もあります。どのようなことに気を付けるべきか、次章で解説します。
RSSIの注意点
RSSIは電波の干渉を受けることがあり、必ずしも正しい数値を計測できるとは限らない点に注意が必要です。特に、周波数が860~960MHzのUHF帯のRFIDはよく利用されますが、金属物や水分などの周辺環境に影響を受けやすく、これらが近くにあると正確な値にならないことがあります。
また、RFタグがアンテナと正対していない場合や、周囲に他のRFタグがある場合、測定精度が低下する可能性があります。
事前に読み取りテストを実施し、RSSIの数値が正確であるか、実際の距離との整合性が取れているかを確認することが大切です。
RFIDと金属干渉の関係についてはこちらの記事で解説しています。
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ここまで解説したように、RFIDにおけるRSSIは、RFタグとRFIDリーダー間の通信強度のことであり、距離によって値が変動する性質を利用してRFタグのフィルタリングに活用できます。ただし、金属や水分などの影響を受ける場合があるので、実際の環境での読み取りテストを実施して確認しておくと良いでしょう。
RFIDの導入時は、RSSIや価格、リーダーの種類など、さまざまな条件を整理して自社の現場に最適なものを選ぶことがおすすめです。
以下の資料では、RFID導入前に押さえておきたいポイントを紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
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