棚卸を早く終わらせるには？
棚卸時間を短縮する３つのポイントやツールをご紹介

製造業にとって棚卸は不可欠の業務ですが、棚卸に多くの工数を要してしまうと、現場スタッフの負担が大きくなり生産性低下の原因にもなります。
では、棚卸に時間がかかる要因としてはどのようなものがあるのでしょうか？主な要因を3つご紹介します。

棚卸に時間がかかる要因として、台帳上の在庫数と実在庫の物品数が合わないことが挙げられます。
在庫差異が発生すると、限られた時間でその原因を突き止めて解消する必要があります。具体的には、納品伝票の内容と実際のモノの動きを突き合わせ、差異発生箇所を特定し、伝票内容の修正や在庫データの調整を行わなければなりません。
また、在庫差異が発生しないよう頻繁に実地棚卸（在庫の現物を実際にカウントすること）を行おうとすると、その分多くの工数がかかり、棚卸以外の業務が停滞する原因となります。
なお、帳簿棚卸（帳簿上で在庫数をカウントすること）を行わずにいきなり実地棚卸を行うと、非常に時間がかかってしまうため注意が必要です。

倉庫内の整理整頓が不十分な場合、資産や在庫の所在を正確に把握しにくくなり、棚卸作業の効率が低下します。
例えば、同じ種類のモノが複数の場所に点在しているとカウントに時間がかかります。モノが乱雑に積まれている場合にも、数量を正確に数えにくく、見落としの原因となります。

棚卸は、作業者が目視で在庫を確認し、手作業で記入・入力をする方法が一般的でした。しかし、人手でこれらの作業を行うと、カウントの重複や抜け、入力ミスや記録の漏れが生じやすくなります。
また、作業者の疲労や集中力の低下により、正確性が低下することもミスが発生する原因です。

ここまで棚卸に時間がかかる3つの要因を解説しましたが、時短するためにはどうしたら良いのでしょうか。次章で棚卸工数を低減するポイントを紹介します。

棚卸を早く終わらせるポイントとしては以下の3つがあります。
なお、①と②は日頃からできることであり、③は棚卸時にできることです。

日頃から入出庫のたびに在庫数を帳簿に記録し、在庫高を計算することで、常に最新の在庫情報を把握できるようになります。これにより、棚卸時に大規模な在庫差異が発生しにくくなり、差異の原因究明や解消にかかる時間を短縮することが可能です。

倉庫内のモノの保管場所に「住所」を割り振って在庫管理する「ロケーション管理」を行うことも効果的です。ロケーション管理を行うことで、「どこに」「何が」「どのくらい」あるかを容易に把握できるようになります。
棚卸用の帳簿をロケーション（エリアや棚）ごとに作成し、作業担当を割り当てます。これにより、あらかじめ決められたロケーション内で作業するだけで済むため、移動時間・距離を短縮できます。

ロケーション管理について詳しくは以下をご覧ください。

倉庫内のロケーション管理とは？管理方法やお役立ちツールを紹介

倉庫内の製品や在庫を効率的に管理する方法として「ロケーション管理」があります。ロケーション管理を行うことで、必要なモノを探す時間を短縮でき、ピッキングミスの低減や属人化の解消、適正在庫の維持などさまざまなメリットを得られます。本記事では、ロケーション管理の主な方法や、役立つツールをご紹介します。

資産管理ツールや在庫管理ツールなどの各種ツールを活用することもおすすめです。
ツールを使用することで、手作業によるカウントミスや記録ミスを減らし、業務効率を高めることが可能です。
例えば在庫データをシステム上にすぐに反映できれば、帳簿上の在庫と実在庫の突合が容易になり、作業時間を大幅に短縮できます。

以下で手作業をシステム化し棚卸時間を40%短縮した事例を紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。

【導入インタビュー】棚卸における手書きの工程をシステム化。ヒューマンエラーを防止し、棚卸作業時間が約40％短縮。

名古屋市に本社を構え、メラミン化粧板などの建装建材の製造・販売を中心に事業を展開しているアイカ工業株式会社。
棚卸作業に膨大な時間がかかる課題を解決するため、棚卸業務システム・在庫ラベル発行システムを導入したところ、それまで相当の労力をかけていた棚卸作業時間を約40％短縮し、ヒューマンエラーをほぼゼロにすることができました。
今回はシステム導入の経緯や導入後の効果について、導入を担当された同社名古屋工場 生産第三課の浅山様にお話をお伺いしました。

棚卸の正確性向上や作業時間短縮を実現するツールについて、次章で詳しくご紹介します。

棚卸を支えるツールとしては、RFIDや倉庫管理システム、音声認識入力システムがあります。

無線通信によって情報のやり取りができる技術であるRFIDを活用することで、棚卸の作業時間短縮やミスの低減を実現できます。在庫に取り付けた複数のRFタグをハンディターミナルで一括読み取りをすることで、自動でシステム上に記録されるため、手書きや手入力によるミスを減らすことが可能です。
RFIDは遠隔から非接触で読み取りができるので、製品に近づく必要や、箱から物品を取り出す動作を無くすことができます。

RFIDの活用方法についてはこちらの記事をご覧ください。

RFID活用による、工具の持ち出し管理を効率化する方法とは？

製造現場に欠かすことのできない工具は、使用するときに持ち出し、使用後は返却するケースが一般的です。そのため、支障なく業務を遂行するためには、工具の持ち出し管理を適切に行う必要があります。本記事では、工具の持ち出し管理を効率化するために重要な「みえる化」による管理方法をご紹介します。

倉庫管理システムは倉庫内の在庫管理を一元的に支援するシステムであり、WMS（Warehouse Management System）とも呼ばれます。入荷管理や在庫管理、出荷管理はもちろん、棚卸管理にも活用可能です。前述のRFIDと組み合わせることで在庫情報を簡単に収集してシステム上で管理できるようになり、棚卸にかかる時間を短縮できます。

倉庫管理システムの詳細はこちらの記事をご覧ください。

WMS（倉庫管理システム）とは？倉庫管理における役割やメリットを解説

WMS（倉庫管理システム）は倉庫内の在庫管理を一元的に支援するシステムであり、入荷や出荷の管理、棚卸管理など多くの役割があります。WMSを導入することで、現場業務の効率化・精度向上などさまざまなメリットがありますが、導入コストがかかるため費用対効果を見極めて検討する必要があります。本記事では、倉庫管理におけるWMSの役割やメリット・デメリットなどを解説します。

ハンズフリーで入力可能な音声認識入力システムを活用することで、数量を読み上げるだけで即座にシステムに入力されるため、手書きや手入力によるミスを減らせます。また両手が自由になるため、在庫の取り扱いや移動がスムーズになり、作業速度が向上して棚卸をスムーズに終わらせることができます。

音声認識入力システムの詳細についてはこちらをご覧ください。

音声認識入力システム

測定業務、荷受け、仕分け作業などがハンズフリーの音声入力を
利用することで、操作画面をアイズフリーで作業ができます

その他、倉庫の棚卸を効率化するソリューションについては下記をご参照ください。

倉庫の棚卸業務を効率化する方法とは？改善のポイントと解決に向けたアイデアをご紹介

倉庫では在庫把握を目的とした棚卸業務が行われますが、業務の課題として時間がかかってしまう、ヒューマンエラーが発生しているといった課題を抱えている企業は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、棚卸業務の効率化を実現するためのポイントや具体的な方法などをご紹介します。

棚卸は人手に頼って行うと多くの工数がかかり、ミスも増えてしまいます。そこで、入出庫の記録やロケーション管理などに加えて、適切なツールを導入することが非常に重要です。

小林クリエイトでは、前章でご紹介したような棚卸に役立つ各種ツールを取り揃えています。製造現場における業務効率化やコスト低減などにつながる改善の実績が豊富であり、棚卸をはじめとする作業工数低減のソリューションを提案することが可能です。

以下の資料では、作業工数低減を実現する改善ネタをまとめていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。