RFIDアンテナとは?電波の特性や種類を解説

RFIDアンテナは、RFタグ・ラベルの情報を読み取る際に不可欠の装置であり、さまざまな特性(偏波特性)や種類があります。RFIDを導入する際には、RFIDアンテナの特徴を踏まえ、使用環境や用途に適したものを選ぶことが重要です。
本記事では、RFIDアンテナの電波の特性や種類を解説します。

RFIDアンテナとは
無線通信を使用したRFIDは、非接触で情報の読み取りが可能なことから、製造業や物流をはじめとするさまざまな業界で在庫管理や物品管理の効率化に活用されています。
RFIDアンテナとは、RFタグの電波を送受信する役割を担う装置です。RFIDにおいて、非接触でデータの読み書きを行うための重要な構成要素であり、RFIDアンテナから情報を電波に乗せて送信します。
RFIDアンテナにはさまざまな特性や種類があり、RFIDを導入し効果的に運用するためにはそれらを理解しておくことが重要です。
RFIDアンテナの指向性
RFIDアンテナには指向性があります。指向性とは、電波などの強さが方向によって異なる性質です。Wi-Fiルーターのような無線機器は全方向に電波を送る一方で、RFIDアンテナの電波は効率的に情報を読み取らせるため一方向に進む性質を持ちます。一方向に電波を集約することで、より強い電波を送受信できるように設計されており、指向性があると言えます。
なお、電波を一方向に集約した場合と集約しなかった場合の電波強度の差を「利得」と呼びます。
RFIDアンテナの偏波特性
RFIDアンテナには偏波特性があります。偏波はRFIDアンテナから放射される電波の振動方向を指し、RFIDの通信効率に影響を与える要素です。
主に2種類の偏波特性があります。
円偏波
円偏波では、電波が螺旋(らせん)状に回転しながら伝わります。
RFIDアンテナの読み取り距離は比較的短いですが、読み取り範囲は広範囲に及ぶのが特徴です。RFタグの方向がランダムであっても通信しやすく、RFタグとRFIDアンテナ面が平行に近いほど読み取りが安定します。
RFタグの向きに関係なく読み取れるため、倉庫での入出庫管理や棚卸などに向いています。
直線偏波
直線偏波では、電波の振動方向が一定であり、波状かつ直線的に照射します。
特定の方向に対して効率的なエネルギー伝送が可能です。RFIDアンテナからの偏波方向(角度)がRFタグの向きと一致したときに通信距離が最も長くなり、角度がずれるにつれ通信距離は短くなります。角度が90度になると、理論上通信は不可能となります。
離れた位置から読み取れるため、機器のメンテナンスや資材管理などで役立ちます。
RFIDの通信距離については、以下の記事をご覧ください。
RFIDアンテナの種類
RFIDアンテナには以下のように複数の種類があり、使用環境や用途、目的によって適したものを選ぶ必要があります。
シートタイプ
シートタイプは、薄いシート型のRFIDアンテナです。サイズが小さいため扱いやすく、卓上や装置内などスペースが限られている場所でも設置可能です。サイズが大きくなると読み取り範囲が広がる性質を持ちます。
設置スペースが狭い棚卸の現場やアパレルショップの店頭レジなどでよく利用されます。
平面タイプ
平面タイプは、平板上のRFIDアンテナであり、汎用的に利用可能なため、物流倉庫や工場での資材・工具の管理、入出荷管理など、さまざまな場面で使用されます。
対象外のRFタグの誤認識を避けるため、読み取り範囲を抑えた小型タイプも多く、そうしたタイプは物流倉庫の棚ごとに設置されることが一般的です。
防水性能や防塵性能、衝撃耐性などの耐環境性能が高い屋外設置が可能なモデルもあります。
マットタイプ
マットタイプは、床面に設置するタイプのアンテナです。超薄型かつ軽量で、踏まれることが前提であるため高耐久性素材が用いられています。
主にマットやカーペットなどの下に敷き、その上を通過するだけで自動で読み取ることが可能です。通過したものを管理するような、工場や物流施設での物品の移動記録のほか、ショッピングモールや店舗の動線管理にも活用されます。
ゲートタイプ
ゲートタイプは、門(ゲート)やトンネル状の電波遮蔽板と一体型になったタイプのアンテナです。
通過時に情報を読み取れるように設計されており、物流施設や倉庫では入出荷管理に活用されることが多いです。ゲート状になっているため、ベルトコンベアの上にも設置できます。
RFIDアンテナを活用した循環資材管理ソリューションとしてはRePaXがあります。
詳細はこちらをご覧ください。
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RFIDアンテナの技術は進歩しており、さまざまな用途や場面で活用されています。偏波特性やRFIDアンテナのタイプごとの特徴を踏まえ、自社の使用環境や目的に応じて最適なものを選ぶことが重要です。
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