RFID導入前に確認を!
電波利用申請の必要有無と方法
RFIDは電波を発する機器であることから、導入前に電波利用申請が必要な場合があります。しかし、「電波利用申請とは何か」「どのような場合に申請が必要になるのか」についてご存じない方も多いのではないでしょうか?
本記事では、RFID導入前に知っておきたい電波利用申請の基礎知識や、電波利用申請の必要性の有無、申請の方法を解説します。
電波利用申請とは
電波利用申請とは、無線局を開設・運用するために必要な手続きのことです。日本では、総務省が管轄する電波法に基づいて申請が行われます。
電波はテレビやラジオ、携帯電話、Wi-Fi、消防無線など日常のさまざまな場面で利用されており、無秩序に電波資源を使用すると混乱が生じてしまいます。そこで「電波法」では、電波の混信や妨害を防ぎ、電波を公平かつ効率的に利用できるよう、用途によって利用可能な周波数を定めています。そのため、無線局を開設する際には申請の手続きが必要になるのです。
なお、無線局とは無線設備(電波の送信機、受信機、またはその組み合わせ)と無線従事者(無線設備の操作を行う者)の総体のことであり、RFID機器が対象となるものは後述の「構内無線局」と「陸上移動局」に分類されます。
電波利用申請が必要なRFID機器
RFID機器は電波を利用するため、電波利用申請が必要な場合があります。具体的には、1W以下で高出力に分類されるUHF帯のRFID機器が該当し、申請手数料や電波利用料の支払いが必要です。250mW以下で日本国内の技術適合を受けている製品であれば、「特定小電力無線局」の扱いとなり登録申請は不要です。
なお、1Wを超える出力の機器は国内での使用が認められていません。また、UHF帯のRFIDで使用できる周波数帯は国によって異なっており、海外製の製品を持ち込む際には国内の周波数帯に適合しているか、日本の電波法において技術適合を受けているかといった点に注意する必要があります。
海外で使用されているRFID機器を日本で使用する場合、周波数帯以外にも注意すべき点があります。国内で使用するRFID機器は、技術基準適合証明等を受けたもの(技適マークを付与されたもの)であることが必要です。海外のRFID機器をそのまま国内へ持ち込んで使用することはできないため、その点も確認しておきましょう。
RFIDの交信距離については以下の記事をご覧ください。
RFID機器の無線局の種類
RFID機器が対象の無線局には以下の2つの種類があります。
構内無線局
1か所の構内のように、固定の場所で使用する場合の無線局です。申請した特定の構内での使用に限られており、その場所を離れて使用することはできません。
複数の拠点や店舗で使用する際には、それぞれ個別の申請が必要であり、イベントや移動車両での使用には適しません。また、港湾内での使用もできないことに注意が必要です。
陸上移動局
国内のすべての陸上で使用可能な無線局です。RFIDが普及し1つの場所にとどまらず多様な場所で利用されるようになったため、構内無線局だけでは対応できなくなってきたことを背景に、2019年3月に新たに制度化されました。
1回の申請で複数の場所・拠点での使用が可能であり、場所ごとの個別の届出は不要です。移動しながらの使用が認められており、港湾内でも接岸していれば使用できます。
それぞれの無線局を比較すると以下の通りです。
電波利用申請の方法
電波利用申請の方法には以下の2つの種類があります。
登録申請
LBT (Listen Before Talk) ※対応のRFIDリーダーを使用する際に申請する方法であり、主にハンディタイプの製品が対象です。登録期間は最長5年間となっています。
個々のRFIDリーダーを別途申請する「個別登録申請」、または複数のRFIDリーダーを一度に申請する「包括登録申請」のいずれかで申請します。
※複数のRFIDリーダーを運用する際に電波の干渉を防ぐ技術。キャリアセンスとも呼ばれる。
RFIDリーダーの種類については以下の記事をご覧ください。
免許申請
LBTに非対応のRFIDリーダーを使用する際に申請する方法であり、主に据え置き型やゲートタイプの製品が対象です。登録期間は登録申請と同じく最長5年間となっています。個別申請のみ可能であり、包括申請はありません。
それぞれの申請方法を比較すると以下の通りです。
それぞれの申請において、使用場所が固定されている場合は構内無線局、移動が想定される場合は陸上移動局として申請します。導入予定のRFIDリーダーの送信出力と通信方式を事前に確認し、適切な申請方法を選択することが重要です。
RFID導入のご相談は小林クリエイトへ
ご紹介したように、UHF帯で高出力のRFID機器を運用する際には電波利用申請が必要です。
導入する機器の種類や使用環境などを踏まえ、構内無線局と陸上移動無線局、ならびに登録申請と免許申請のいずれか適切なものを選択して申請しましょう。
小林クリエイトでは幅広いRFIDソリューションを提供しており、製造業の現場改善で培ったノウハウを活用することで、それぞれの現場の特徴や利用シーンに合わせた最適な提案が可能です。現状の課題抽出から導入効果の検討、最適なRFタグの選定とシステム構築、読み取りテストと本導入に至るまで、RFID のスムーズな導入をサポートします。
小林クリエイトのRFIDソリューションの詳細については以下をご覧ください。
また、以下の資料ではRFIDソリューションの種類を一覧でご案内していますので、ご関心のある方はぜひご覧ください。
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