RFIDタグのメモリ構成とは?
機能もあわせて解説

RFタグには複数のメモリ領域があり、それぞれRFタグを識別するためのコード情報やセキュリティに関する情報などを格納する役割を持っています。RFタグのメモリ構成を理解しておくことで、自社の用途や目的に適したRFタグを選定する際に役立ちます。
本記事では、RFタグのメモリ構成とそれぞれの特徴、メモリに関する機能について解説します。

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RFタグのメモリ構成

RFタグにはICチップが内蔵されており、内蔵チップには以下4つのメモリ領域があります。

EPCメモリ

EPCメモリとは、RFタグを識別する役割を持つ主要な領域であり、RFIDの識別に使用されるGS1識別コード(EPC)を保存することが可能です。
容量としては、96bit、128bit、256bitの他にも496bitのものも存在します。
EPCメモリは更に下記の3つの領域で構成されます。

① UII領域
UII領域は、EPCメモリの中で最もコアな領域です。EPC識別コードが記録され、製品カテゴリや製造業者情報、シリアル番号などを含み、国際標準規格であるGS1に準拠したEPC識別コードの格納が推奨されています。ユーザー自身が自由に更新できる点が特徴です。

② CRC領域
CRC領域は、EPC識別コードを読み取る際に、コードが正しく伝送されたかを検証する領域です。EPCメモリ全体のデータの整合性をチェックするためのエラーチェックコードを保存する役割を持ち、通信の信頼性を確保するために必要です。ユーザー自身での書き込みはできません。

③ PC領域
PC領域は、Protocol Controlの略で、RFタグの種類や通信方式に関連するさまざまな制御情報を保存する領域です。

これらの3つの領域が組み合わさることで、効率的にRFタグの識別・管理ができるようになります。

USERメモリ

USERメモリとは、ユーザーが自由に利用できる領域です。EPCメモリに関連するその他の情報や企業独自の情報を格納するために使用され、RFIDリーダーやRFIDプリンタを使用して書き込み(エンコード)を行います。ただし、EPCメモリとは違い、必ずしも高速で読み書きできるとは限りません。USERメモリはあくまでも補助的な領域であるため、存在しないRFタグもあります。
容量の選択肢は幅広く、32bitのものから8kbitのものまであります。

書き込み(エンコード)の詳細については以下の記事をご覧ください。

TIDメモリ

TIDメモリとは、タグ自体の識別に使用される領域で、チップセットのカテゴリやRFタグの製造元、モデル番号・シリアル番号などの情報が書き込まれています。
読み取り専用であり、一度書き込まれたデータは変更できません。

RESERVEDメモリ

RESERVEDメモリとは、セキュリティ関連の情報を格納する領域であり、32bitの長さを持つ下記2つのパスワードが格納されています。

① アクセスパスワード
アクセスパスワードは、EPCメモリとUSERメモリへの不正アクセスを防ぐために使用されます。

② キルパスワード
キルパスワードは、RFタグの機能を永久に停止させるために使用されます。

アクセスパスワードは後述のロック機能、キルパスワードは同じく後述の無効化機能を持つ領域です。

RFタグのメモリに関する機能

RFタグのメモリの制御に関する機能には以下2つがあります。

ロック機能

ロック機能とは、予期せぬ不正なアクセスからメモリ領域を守るための機能です。
メモリ領域に対して個別にロックをかけることができます。製品情報や製品IDなど、書き換えを防ぐべきデータの保護や、認証情報や機密データの漏洩防止の目的で実行されます。EPCメモリの情報が悪意ある書き換えをされてしまうと運用ができなくなります。書き換えをしない運用の場合は、導入時にロックを行うことが一般的です。
なお、書き込みに対するロックを行うものであるため、読み取りは制限できません。

無効化機能

無効化機能とは、RFタグの機能を完全に停止させるために使用される機能であり、キルパスワードを使用してタグを無効化(キル)できます。
キルパスワードに0以外の値を書き込み、キル命令を実行すると、RFタグは一切の機能を停止し、読み書きができなくなる仕組みです。一度実行すると解除できず、すべてのメモリについて読み取り・書き込みができなくなるため、廃棄時に行います。

これらの機能によりRFタグのセキュリティが強化され、不正使用やプライバシー侵害のリスクを軽減できます。

RFID導入は小林クリエイトにご相談ください

RFタグの各メモリ構成は、用途ごとに特化しています。それぞれの用途や特徴はアプリケーションの要件に影響するため、メモリ構成について理解しておくことは適切なRFタグを選定し活用するうえで重要です。USERメモリのないRFタグは低コストで導入できますが、EPCメモリに入りきらないコード情報を入れたい場合にはUSERメモリのあるものを選定する必要があります。

RFIDタグ選定時の軸については以下の記事をご覧ください。

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