採血の安全対策を徹底!5S活動で採血現場を改善するポイント

採血の安全対策を徹底!5S活動で採血現場を改善するポイント

 
多くの患者様や職員の方が出入りを行う外来の採血室では、予期せぬ事故が発生することがあります。そのため、「5S」や「ヒヤリハットの共有」といった安全対策の徹底が求められます。
そこで今回は、採血室で発生しやすい事故の種類や原因、安全対策のポイント、さらに効果的な製品やシステムについてご紹介します。
 
 
 
 

病院の安全対策の重要性

 

病院内では、ヒューマンエラーやスキル不足、環境や設備機器の問題等から、事故が発生するリスクがあります。場合によっては、死亡事故といった重大事故が起きる可能性もゼロではありません。

 

医療事故とは、医療に関わる場所で、医療の全過程において発生するすべての人身事故のことを意味します。

 

医療事故が発生した場合、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を医療事故調査・支援センターに報告しなければなりません。この制度の対象となる「医療事故」は、「病院、診療所、助産所に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、その管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」であり、法令等に詳細に規定されています。

 

2024年3月に一般社団法人 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)が発表している2023年度版によると、2023年に発生した医療事故の発生報告件数は361件であり、起因した医療(疑いを含む)別に分類した院内調査結果報告件数は「手術(分娩を含む)」が最も多く149件であり、次いで多かったのは「処置」36件であることが報告されています。

 

<参考>

医療事故調査・支援センター 2023年 年報

 

事故が発生すると、医療の提供が遅延または停止してしまいます。さらに、社会的信用の低下による患者離れ、事故の被害者や遺族に賠償金を支払うケースもあり、病院経営に支障を起こる可能性もあります。そのため、人命を守るだけでなく、安定した経営を行ううえでも、病院内の安全対策は非常に重要です。

 
 
 
 

採血における事故の種類と原因

 

次に、外来の採血室で起こりえる事故について考えてみます。

 

採血後に気分が悪くなり、患者様が転倒してしまうことがあります。また、採血に伴う合併症を発生してしまい、内出血や神経損傷といった障害も考えられます。
 

<対策例>

・止血が充分にできる止血バンドを採用する。

・採血後も、一定時間採血室に滞在してもらう。

・血をサラサラにする薬をお飲みの方や、出血しやすい体質の方は、申し出をお願いする。

・採血が初めての方、過去の採血でめまい、気分不快感、意識消失等を経験したことのある方は、

 申し出をお願いする。

・ベッドでの安静採血を行う。

 

これらの対策とともに、採血室内の掲示板やモニター等を利用し、注意喚起をすることが効果的です。

 
 

患者様以外に発生する事故もあります。脱脂綿、ガーゼ、包帯、注射針等の採血室で発生する感染性廃棄物は、安全な廃棄管理が求められます。感染性廃棄容器を職員の動線の妨げとなる場所に設置していた場合、容器が転倒し、中身が出てしまうこともあります。また、感染性廃棄物の処理の現場でも、感染性廃棄物容器への廃棄物の詰め過ぎや蓋の脱落等のトラブルが発生しています。環境省が発行している「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に沿って、安全な運用を検討していく必要があります。

 
 
 
 

外来採血室における安全対策のポイント

 

このように、採血を実施する外来の採血室では、安全対策を万全に行うことが極めて重要です。以下では、特に押さえておきたい安全対策のポイントを3つご紹介します。

 
 
 
 

①5Sの徹底

 

まずは、「整理」・「整頓」・「清掃」・「清潔」・「しつけ」からなる「5S」を徹底し、採血室の環境を改善します。
 

採血室から不必要な物を取り除き「整理」することで、作業スペースが広がり、必要な物品のみが「整頓」されます。「整理」「整頓」により、採血針や採血管が適切に分類され、特定の場所に常に戻されることで、職員は無駄な時間をかけずに必要なアイテムを手に取ることができるようになります。例えば、採血管、脱脂綿、止血テープ等を特定の引き出しや棚に配置し、ラベリングすることで、職員が迅速かつ確実に必要なアイテムを取り出せるようになります。

 

また、日々の「清掃」で採血室を「清潔」に保ち、感染リスクを減少させることができます。「しつけ」で5Sを日常的な行動として定着させることで、職員全員の意識を高めることにつながります。

 

5Sの徹底は、安全性向上に加えて、職員の業務負担を軽減することによる生産性向上や、整理整頓された環境による患者満足度向上も期待できます。

 
 

②ヒヤリハットの共有

 

ヒヤリハットの共有も綿密に行います。「ヒヤリハット」とは重大な事故につながる恐れのあるミスを指し、思わず「ヒヤリ」としたり「ハッと」したりすることから、このように呼ばれます。対策を強化するには、ヒヤリハットの事例を職員同士で共有することで、事故防止のために気を付けるべきポイントが明らかになり、適切な対策を講じることができます。効果の高いヒヤリハット活動を行うには、「速やかな報告書作成」・「原因の明確化」・「対策の周知」が重要です。

 
 

③KYT(危険予知訓練)の実施

 

KYT(危険予知訓練)の実施も重要です。KYTとは「危険・予知・トレーニング」の頭文字から取られた造語であり、医療・看護業務の現場での安全意識を高めて危険を低減するための訓練のことです。現場において事故につながる危険を見つけ、その対策について話し合います。これにより、事故が起こりやすい作業や場所を洗い出すことができ、的確な安全対策をとることができます。

 
 
 
 

患者様・職員の方が安全に過ごせる採血室を目指そう

 

十分な安全対策を講じなければ事故のリスクが高まるため、5Sの徹底やヒヤリハットの共有、KYT(危険予知訓練)などを日頃から実施し、安全に対する意識を醸成しましょう。また、これらの対策を行う場合は、安全性を高めるために機器やシステム、什器を導入することも効果的です。以降では、採血室の安全対策に活用できる製品やシステムをご紹介します。

 
 
 
 

①採血補助台 転倒防止・安全な廃棄物処理

 

患者様の転倒防止のために、捕まることができる場所をしっかり確保することが大事です。患者様側に手すりが付いている採血補助台では、転倒を防止することができます。

 

また、採血室では、医療行為を行う採血台周りの5S活動により、安全を確保することができます。廃棄容器の運用方法を見直すことで、安全な廃棄物処理の体制を整えることが重要です。弊社の採血補助台は、感染性廃棄容器を内蔵したオーダーメイドが可能です。

 
 

 
 

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②採血管準備装置 i・presシリーズ 採血管の選び間違い防止

 採血業務支援システム RInCS 患者様の取り違い防止

 

ミスを起こさないように、機器やシステムを導入し、安全性を向上させることも重要です。採血管の選び間違いや患者様の取り違いは、採血管準備装置や採血業務支援システムの導入により、人的ミスを回避することができます。

 
 

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③採血業務指標化システム 穿刺情報の記録により安全を担保

 

血管状態や使用針、穿刺部位等の有益な情報が記録に残ります。履歴として参照できるので、採血による合併症への対応にも効果的です。

 
 
 
 

 
 
 
 


採血室で発生しやすい事故の種類や原因、安全対策のポイント、さらに効果的な製品についてご紹介しました。患者様が安心できる採血室や、採血業務に集中できる環境を整えてみるのはいかがでしょうか。