製造業の人手不足、その理由とは?
工場での対策方法を紹介

製造業の人手不足は年々深刻化しており、競争力・生産性の低下や労働環境の悪化といった問題が生じやすくなっています。製造現場の人手不足を解消するためには就業環境の改善やITを活用した省人化を進めることが重要です。
本記事では、製造業の人手不足の実態やその理由、工場でできる人手不足対策などを解説します。

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製造業における人手不足の実態

多くの業界で人手不足が問題視されている中、製造業では特に人手不足が深刻化しています。経済産業省の「ものづくり白書」(2020年版)においては、大企業・中小企業問わず7割以上の製造業企業が人手不足に課題を感じていることが報告されています。

また、2023年版の同白書によると、製造業の若年就業者数(34歳以下)は、2002年と2022年を比較すると20年間で約129万人減少しています。具体的には、2002年には384万人であった若年就業者数が、2022年には255万人まで減少しました。

一方で、65歳以上の高齢就業者数については、2002年の58万人から2022年には90万人達し、20年間で約32万人が増加しました。
これらの状況から、製造業における人材確保が伸び悩んでいることが分かります。

出典:経済産業省「ものづくり白書」(2023年版)

製造業が人手不足に陥る3つの理由

製造業が人手不足に陥る理由としては以下の3つが挙げられます。

労働人口の減少

少子高齢化によって国内の生産年齢人口(15~64歳)は減少しており、今後もこの傾向は続くことが予測されます。生産年齢人口の減少は労働者数の減少につながるため、将来的にも製造業の人手不足がさらに進むことが考えられます。

後継者・指導者不足

前述の通り、製造業では若年層の就業者数が大幅に減少する一方で、65歳以上の高齢就業者の人数および割合は増えています。
近い将来、高齢就業者の多くが退職すると、後継者・指導者ともに少なくなるため、高齢就業者が持つ技術が若手に継承されない恐れがあります。その場合、すでに課題となっている技能人材の確保はさらに難しくなる恐れがあります。

働き方の多様化への遅れ

コロナ禍以降特に、リモートワークやフレックスタイム制など働き方の多様化が進んでいます。しかし、製造業は業務の性質上工場などの現場で決まった時間に働く必要があるため、そうした柔軟な働き方に対応しにくいことが課題です。
こうした背景から、柔軟な働き方を求める人材の入職が遠のきやすく、人材確保が難しい要因となっています。

製造業の人手不足で起こる問題

製造業で人手不足が進むと、以下のような問題が生じます。

競争力の低下

新たな人材を確保できないと、既存の人員だけで業務をこなさなければならなくなります。そのため、本来は育成途上にある若手がやるべき業務を、スキルを持つ人材が行わなければならなくなり、より高度な作業や付加価値の高い業務に割けるリソースが少なくなります。

その結果として、現場が生産ラインの業務を維持することで精一杯となり、企業の成長機会が奪われ、競争力が低下する恐れがあります。

また、人手不足で業務負荷がかかり、長時間労働などが常態化すると社員のモチベーションが低下し、さらに創造性を発揮できなくなることも問題です。

生産の停滞・事業縮小

人手不足が進むことで生産力を維持できず、生産ラインの停滞や既存の工場の閉鎖といった事態に追い込まれる可能性があります。受注自体は維持できたとしても、生産が追い付かないために収益や資金繰りが悪化するリスクもあります。

労働環境の悪化

人手不足が進む中、既存の従業員のみで業務をこなすことになると、必然的に1人当たりの業務量が増えるため、労働環境の悪化につながります。

例えば、残業時間が増加するほか、有給休暇を取得できなくなるといった悪影響が出る可能性があります。そして、ワークライフバランスが崩れることで従業員のモチベーションが低下し、休職や離職につながりやすくなることで、さらに人手不足に拍車がかかる恐れがあります。

工場でできる人手不足対策

上記のような問題を発生させないために、工場でできる人手不足対策を4つご紹介します。

①外国人・女性・シニア人材の雇用

採用する人材の幅を広げ、外国人・女性・シニア人材を雇用することが挙げられます。
例えば、技能実習制度を活用して外国人人材を採用できれば、最長で5年間雇用することができます。

また、製造業は肉体労働が多く危険な現場といったイメージから、男性が就く職業という先入観が持たれやすいですが、労働環境の改善や採用広報の工夫などによって女性の採用も増やせる可能性があります。

加えて、シニア人材の雇用を延長することで、人材不足の解消とともに技能継承を進めていくことができます。

②就業環境の改善・イメージアップ

前述の女性人材の採用とも関連して、就業環境の改善や職場のイメージアップがあります。例えば、育休や産休をはじめ、ワークライフバランスを充実させやすい制度を整備したり、休暇を取りやすい雰囲気づくりの推進、安全対策の徹底、空調設備の整備といった施策を進めたりすることで、働きやすい環境を整えることにつながります。

また、採用活動では自社の業務内容や仕事の魅力、実際に働く人の声などを自社HP、SNS等を通じて積極的に発信し、イメージアップを図ることも重要です。
これらの取り組みによって、採用人数や定着率の増加、そして人手不足の解消が期待できます。

③人材育成の効率化

研修制度を充実させたり、業務のマニュアル化を推進したりすることで、人材育成の効率化を図る対策も挙げられます。かつての製造業ではベテランの仕事を「見て学ぶ」ことが重視され、人材育成の体系的なノウハウが蓄積されていないケースも多く見られました。

しかし、人材不足が深刻化している現在は、短期間で即戦力に育てる必要があります。そのため、ベテランの従業員の技術や知識を言語化して、全社的に共有することが効果的です。

④IT技術の活用

IT技術を活用し、従来の業務を変革するDXの推進も重要な対策です。例えば、新たな在庫管理システムの導入を進めたり、AIを活用してこれまで人が行っていた作業を自動で行うようにしたりすることで、省人化を進め、人手不足に対応することができます。

そこで以降では、現場の省人化を図るうえで重要な「省力化」に貢献するITソリューションと、それらの活用例をご紹介します。

小林クリエイトの省力化ソリューション

小林クリエイトでは、製造現場の省力化を進めるさまざまなソリューションをご提供しています。

  • RePaX(リパックス)

RePaX(リパックス)は、RFIDを活用し、通い箱・パレットなど循環輸送資材の貸し出し状況を管理できるパッケージシステムです。
通い箱やパレットにRFタグを付与し、ID管理をすることで、これらがいつ、どこに出荷され、どのくらいあるのかを、人手に頼らず正確に把握・管理できます。

  • ぶっぴんさんfor金型

ぶっぴんさんfor金型は、金型の使用実績をハンディターミナルで読み取り、使用実績のデータ化を実現するソリューションです。
紙への記入やPCへの手入力をすることなく、金型の貸出情報を管理できる仕組みになっています。また、PC・タブレットから、「金型毎の使用状況」や「貸出状況」などのデータ出力も簡単にできるため、業務効率が向上し、省力化につながります。

  • ぶっぴんさん

ぶっぴんさんは、自動認識技術であるRFタグや二次元コードを備品に取り付けることで、備品の所在管理を簡単に実施できるソリューションです。
煩雑になりやすい備品の所在把握・管理を楽に行えるようになるため、手間のかかる管理業務から解放され業務効率化・省力化を実現します。さらに、ムダな備品の追加購入コストも削減可能です。

  • 音声認識入力システム

音声認識入力システムは、検査・入荷・仕分けなど、さまざまな工程で行われる紙への記入・データ入力作業を音声指示で完結できるソリューションです。
紙伝票に手作業で記入したり、Excelに転記・入力したりしていると、作業工数・時間がかかり、ミスも発生しやすくなります。音声認識技術を用いた「音声入力システム」を活用すると、ハンズフリーでデータを入力できるようになり、業務効率化や省力化につながります。

このように、業務ごとに適切なソリューションを導入することで、人手不足の状況に柔軟に対応していくことができます。

下記の資料では、IoTやIT技術によって現場の省力化/業務効率化を促し、省人化を目指していくためのヒントを複数ご紹介しています。ご関心のある方はぜひご覧ください。

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