サプライチェーン・マネジメント(SCM)
とは? メリットや課題、
トレーサビリティとの関係性について解説
サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは、原材料の調達から製品が顧客の元へ届くまでの一連の流れを管理することです。
この記事ではSCMの概要と注目を集めている理由、トレーサビリティとの関係性などについて解説しています。また、導入に伴うメリットや課題などについても取り上げているため、ぜひ参考にしてください。
サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは
現在企業において、サプライチェーン・マネジメント(SCM)の導入が注目を集めています。では、SCMとはどのようなものなのでしょうか。ここではその概要について解説します。
サプライチェーン・マネジメント(SCM)の意味
サプライチェーン・マネジメントとは、原材料の調達から製品の製造、輸送されて顧客の元へ製品が届くまでの一連の流れ(サプライチェーン)を管理することです。各過程の情報を適切に管理することで、業務の効率化やよりよい経営の実現を目指します。
サプライチェーンは、特定の業界だけで成り立つものではなく、製造業や運送業、小売業などあらゆる業界が関わることで成り立っている点が特徴です。そのため、自社のみがSCMに積極的に取り組んだとしても、他の企業が続かなければ全体の効率は向上しません。大切なのは、業界を超えて最適化を実現するために連携を図ることです。
インダストリー4.0におけるSCMの重要性
インダストリー4.0とは、産業にテクノロジーを応用することで、「第4次産業革命」とも呼ばれています。
IoTやIT技術などのテクノロジーを活用することで、製品の生産ラインや物流の管理を、人員やコストの最適化を図りつつ効率よく行うことができます。このインダストリー4.0はサプライチェーン・マネジメントに大きな影響を与えます。
インダストリー4.0の具体例としては以下のようなものが挙げられます。
- 従来は、工場の機械が故障してから修理をする必要があったため、その都度生産ラインを停止する必要があり、サプライチェーン全体の生産性を下げていました。しかし、テクノロジーを活用することで機械が故障する前に異常を検知・対応できるため、生産性を下げることなく製造が可能となりました。
- テクノロジーを駆使することで膨大な情報をまとめて処理できるため、需給バランスを考慮した生産計画の立案が可能となります。
また、それに伴い生産過多の状況を回避できるため、無駄な在庫にかかるコストを低減することができます。
テクノロジーを駆使したSCMの活用によって、効率的かつ低コストにて経営を行えますが、SCMはトレーサビリティにおいても重要な関係性があります。実際どのような関係性があるのか次章で説明します。
サプライチェーンとトレーサビリティの関係性
トレーサビリティとは、製品の製造情報をサプライチェーン上で追跡することです。
具体的には、その製品がいつ、どこで、誰により作られたのかといった情報を把握できるようにします。
トレーサビリティの目的の1つは、製品に不具合が発生した際に原因を究明し、不具合がある製品を回収できるようにするためです。また、同様の事案が発生しないように改善するためにも必要となっています。
サプライチェーン全体を通して情報が適切に管理されていれば、トレーサビリティも確保しやすくなるため、両者は密接な関係にあるといえます。
トレーサビリティの実践法については以下の記事でご紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。
続いては、なぜサプライチェーン・マネジメントが注目を集めているのか説明します。
サプライチェーン・マネジメントが注目されている理由
サプライチェーン・マネジメントが注目を集める背景には企業を取り巻く環境の変化が挙げられます。ここではその理由について紹介します。
企業のグローバル化
インターネットの利用が一般的なものになったことで、ビジネスシーンにおいては国内外を問わず取引が可能となり、企業のグローバル化が進んでいます。より規模の大きい舞台でビジネスを展開するにあたっては、SCMで各過程を適切に把握することが大切です。
労働人口の減少
日本は少子高齢化の影響によって労働人口が減少しており、大きな課題となっています。効率よく仕事をこなしていくためには、SCMを通して一連の過程を適切に把握し、業務における無駄を取り除くことが大切です。
非接触への対応によるビジネスモデルの変化
新型コロナウイルスの感染拡大により、オンライン上で買い物をする人が増えました。それに伴い、インターネット上で商品売買を完結させられるビジネスが急速に増加しています。このようなビジネスでは、商品販売と運送業務の連携を緊密に行うことが重要です。このような新しいビジネスモデルを効率よく実行するためにも、SCMは注目を集めています。
次章では、SCMが製造業において具体的にどのようなメリットがあるのか紹介します。
サプライチェーン・マネジメントのメリット
サプライチェーン・マネジメントに取り組むことで企業はさまざまなメリットを得ることができます。ここでは具体的にどのようなメリットがあるのか解説します。
リードタイムの短縮
SCMを行うことで、過去の受注履歴や在庫情報なども把握できるようになります。そのような情報を活用して最適なサプライチェーンを構築することでリードタイムの短縮が可能です。
在庫の最適化
SCMにより生産実績をはじめとする過去の製造情報を現場で追跡できるため、実績に基づいた在庫管理が可能となります。これによって、過剰に在庫を抱える心配がなくなります。また、在庫不足によって販売のチャンスを失うことも防ぐことができます。
設備・人的リソースの有効活用
SCMでサプライチェーン全体の情報を把握できれば、人や物、お金の流れを把握できるようになります。そのため、設備や人的リソースなどを適切なタイミングと量だけで使用できるようになり、無駄を減らすことができます。
SCMにはこのような大きなメリットがある一方で課題も存在します。具体的にどのような課題が存在するのか、次章で説明します。
サプライチェーン・マネジメントの課題
サプライチェーン・マネジメントに取り組む際には、いくつかの点に注意しなければなりません。本章ではどういった点に注意する必要があるのか、具体的な課題を紹介します。
導入への費用がかかる
SCMの導入にあたって一番のネックとなるのがコストです。例えばシステムを使って情報管理しようとする場合、システムの導入費用や利用料がかかります。業務の効率を向上させて無駄を省いてくれるSCMですが、初期費用をできる限り抑えることが重要なポイントです。
人的負担が増加してしまう可能性がある
SCMを行ったとしても、運営自体を効率よく行わないと人的負担が増加する恐れがあります。例えばSCMの導入に伴い、従来よりも業務フローが複雑になってしまい、効率の低下やミスにつながってしまうケースなどが考えられます。
SCMの導入における課題を解決するためには、コスト低減や、より質の高い業務効率化を実現する必要があります。次章では、SCMにおける企業のコスト低減・業務効率化のサポートを行っているサービスをご紹介します。
SCMにおけるコスト低減・業務効率化は小林クリエイトにご相談を!
小林クリエイトは創業してから80有余年、自動車業界などの製造業の業務効率化や原価の低減を実現してまいりました。サプライチェーンにおけるさまざまな過程に沿ったサポートを展開しており、企業ごとに生じる課題に対して的確なサポートが可能です。
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