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RFID(radio frequency identification)は、電波とICタグの相互通信によってデータの読み取りや
書き込みを行う技術で、身近なところでは交通系ICカードや電子マネー、
衣料品の商品タグなどで使われています。
本記事では、RFIDの特長とバーコードの相違点といった基本の解説のほか、医療現場での利用シーンについて紹介します。
RFIDタグは、その周波数帯域によって分類され、それぞれ特性が異なります。
ここでは身近な利用シーンでよく使われる『HF帯』『UHF帯』について解説します。
①HF帯
交通系ICカードや電子マネーなどに使われています。
電磁誘導方式での通信を行い、通信距離は数cmと短いものの、水分などの環境に影響を受けにくいという特長があります。
②UHF帯
衣料品の商品タグなどに使われています。
電波方式での通信を行うため、タグやリーダーの設定によって数m、数十mの長距離通信が可能です。
また、複数のタグを一括で読み取ることができるということもUHF帯の特長です。
一方で環境の影響を受けやすく、タグ周辺に水分や金属があることで通信距離が減衰することがあります。
RFIDとバーコード読み取りによる自動認識は、通信技術・媒体ともに異なるため、その特性も異なります。
バーコードはバーコードリーダーで対象を狙って読み取ることが必要なのに対し
RFIDは対象物が通信範囲内にあれば読み取りが可能で
UHF帯であれば長距離通信での一括読み取りや、遮蔽物越しでも読み取り可能なのが特長です。
一方で、通信にはICタグが必要となるため、タグの費用が発生します。
項目 | RFID(UHF帯) | RFID(HF帯) | バーコード | 二次元コード |
読み取り距離 | ◎ 最長で数十m |
△ 数cm |
〇 数cm~数十cm (長距離読取は物理的に困難) |
〇 数cm~数十cm (長距離読取は物理的に困難) |
一括読み取り | 〇 | × | △ (読取機種によっては可能) |
△ (読取機種によっては可能) |
遮蔽物越しの読み取り | ◎ | 〇 | × | × |
データ書き換え | 〇 | 〇 | × | × |
データ容量 | 〇 | 〇 | △ | ◎ |
コスト | △
タグの費用がかかる (HF帯より安価) |
×
タグの費用がかかる (UHF帯より高価) |
〇
印刷コストのみ |
〇
印刷コストのみ |
RFIDとバーコード、どちらが優れているというものではなく
導入検討に際しては、用途に応じて最適なものを選択することが重要になります。
医療の現場でもRFIDを利用した業務改善の事例は増えてきています。以下に一例を紹介いたします。
▼ME機器管理
輸液ポンプ、シリンジポンプといったME機器にRFIDタグを取り付けて管理。
保管場所でRFID通信による所在把握を行うことで
院内の機器所在管理と在庫数把握の精度向上に貢献しています。
▼SPDでの物品使用管理
医療材料など物品単位で貼り付けられるSPDカードにRFIDタグを内蔵。
リアルタイムでの在庫状況の把握と、バーコード読み取りに費やしていた作業時間を短縮します。
▼手術切除検体管理
検査システムから発行される検体ラベルに透明フィルムラベルを貼付し、RFIDタグを内封。
切除検体の探索を省力化することが可能です。
透明フィルムラベルで検体ラベルを保護することで、ホルマリンに浸漬しても退色・消色することもありません。
また、RFID以外での運用として、バーコード入りの検体ラベルを発行することにより、
切除検体の管理をシステム化することも可能です。
木札の書き間違いや、目視確認による検体の取り違えリスクを軽減できます。
▼入退室管理
既存の職員カードにRFIDタグを貼付。リーダーにカードをかざすことなく非接触で入室が可能なため、
衛生面から非接触で入退場の認証を行いたい手術室や、両手が塞がっている場合の入退室がスムーズになります。
そのほか、患者照合リストバンドにRFIDタグを付加することで、
患者照合をRFIDで行っている病院もあります。
入院患者用リストバンドにRFIDタグを付加したリストバンドを導入することで
患者照合をスムーズにストレスなく行うことができます。
スキャナを患者の手首に近づけるだけで読み取りをすることができますので
バーコードの湾曲による読取困難、夜間のバーコードスキャナ発光・照射によるクレーム、
身動きのとれない重症患者の照合作業の苦慮といった看護業務の課題を解決し
看護師の身体的負担とストレスの低減を実現することができます。