日本赤十字社 姫路赤十字病院様

データで見る力量評価!刺直し回数・採血待ち時間減少を達成した医療チームの取組み

日本赤十字社 姫路赤十字病院様

明治41年(1908年)に創立し、33診療科、560床の歴史のある高度急性期を担う総合病院である、
日本赤十字社 姫路赤十字病院様。

兵庫県播磨姫路二次保健医療圏域、約85万人の医療人口基盤をもつ地域の中核病院として、地域医療機関と密接に連携し、高度専門医療、急性期医療、救急医療を担われています。

第59回日本赤十字社医学会 『医療の質・改善活動報告』全国大会 in 京都において、「採血待ち時間を短縮し、廊下にあふれる患者をなくす」をテーマにこれまでの取り組みを発表し、最優秀賞を受賞されていて、今までの病院様の取組みに加え、弊社製品・システム導入後の効果についてもご発表いただきました。

今回は、システム導入の経緯や導入後の効果について、検査技術部 古川技師長と永谷採血係長にお話をお伺いしました。

※部署名、役職名は取材当時のものです。
 
 

基本データ

外来採血患者数平均400人
日本赤十字社 姫路赤十字病院様(外部サイトリンク)

 
 

導入前の課題

採血の待ち時間減少/採血待ち状況の見える化/患者のプライバシーへの配慮/採血管や患者間違い防止/穿刺情報のデータ化/患者の転倒防止
 
 

導入製品

採血管準備装置i・pres fine/採血業務支援システムRInCS/採血業務指標化システム/採血・採尿一体型自動受付機BU-REC/尿カップラベラーCL-300/採血ファニチャ
 
 

システム導入前にはどのような課題がありましたか?

 

―受付

 

採血室には中待合がなく、採血室受付前の廊下はいつも患者で溢れていました。待ち時間や待ち人数、不在患者などの情報を患者に伝えることが難しく、患者満足度調査でもいつも、待ち時間に関する不満が多くあがっていました。
また、採血と生体検査を受けるすべての患者が、採血室受付へ押し寄せる中、手作業での受付業務は確認事項が多く非常に煩雑でした。

 

―呼出

 

採血室に患者を呼出しする際は、スタッフが採血室の外まで行き、口頭でお名前を呼んでいたため、時間もかかり、作業効率は悪く、採血業務に集中できない環境でした。また、氏名での呼び出しはプライバシーへの配慮もできず、苦情にも繋がりました。

 

―照合

 

患者照合は氏名と生年月日にて確認していましたが、同姓同名の患者もいるため、「患者間違いゼロ」の達成は困難でした。また、オーダラベル手貼りの採血管はスタッフ2名でWチェックをしていたため、手が取られました。

 

―採血

 

採血困難者については、穿刺情報などを記入した独自のリストを手作りし、活用していましたが、失敗してから確認することが多く、患者呼出し前に難易度の把握ができていませんでした。

 

他には、プライバシー保護のためカーテンを設置していましたが、採血終了後に患者がよろけてカーテンを掴んで、転倒することもありました。また、カーテンは血液が付着して汚染されるリスクがあり、衛生面でも問題がありました。

 
 
 

弊社の商品・システムを知っていただいたきっかけや、導入にあたって重視したポイントは何ですか?

 

小林クリエイトのシステム導入前は、他者の採血管準備装置、尿カップラベラーを使用し、手作りの番号表示にて運用していました。小林クリエイトは展示会への来場がきっかけで知り、スタッフ用の椅子や昇降台を採用していました。2022年の外来再編、採血室中待合設置の決定を機に、採血業務支援システムの導入を検討しました。
システムを比較検討するうえで重視したポイントは、患者満足度向上を実現するための、変化・改革につながる仕組みであるかどうかという点です。小林クリエイトの採血業務支援システムは、患者難易度判定や採血者のスキル判定、スキルのマッチングなど非常に魅力的な機能があり、この先の拡がる可能性、例えば教育にも活用できると想像できたことが選択した決め手です。

 
 
 

導入によって、どのような効果が得られましたか?

 

―受付

 

採血採尿自動受付機の導入により、手作業での受付業務は、確認事項のある患者のみに限定され、受付業務の負担は軽減しました。また、待合モニターの設置により、待ち時間の見える化は患者のイライラ軽減に繋がりました。

 

―呼出

 

採血台に設置された端末からワンタッチで行える、待合モニターへの表示と音声による患者呼出業務はスタッフの動線を短くし、作業効率を上げる事ができました。
番号での呼出は患者へのプライバシー保護にも役立ちました。

 

―照合

 

システムでの採血管全管照合は、採血管間違いや漏れを防止し、採血整理券を利用した患者IDと氏名による患者確認は、「患者間違いゼロ」を達成することができました。

 

―採血

 

手すり付き採血補助台の導入により、天井から吊っていたカーテンが無くなり、手もとが明るくなっただけでなく、患者転倒がゼロになり患者の安全性が向上しました。
採血業務支援システムの導入により、穿刺情報の記録が残せるようになり、次回の採血時に活用できるようになりました。さらには、患者難易度と採血者のスキルのマッチングにより、失敗率、交代率が下がり、一人当たりの採血時間が短縮し、採血待ち時間の短縮に成功しました。システム導入前後の10ヶ月間で、待ち時間30分を超える日が57日から3日へと減少しました。

 

スタッフ別、患者難易度別に採血実施数、失敗率、交代率、1人当たりの採血時間を集計し、データに基づいた力量評価ができるようになり、その結果をスタッフにフィードバックすることで目標設定や、スキル維持、新人教育にも活用しています。

 
 

 
 
 

導入して評価しているポイントや、スタッフや患者からの声・感想などがありましたら、教えてください。

 

スタッフから

 

・採血台端末の操作が簡単。タッチパネル式で使いやすい。

・採血スタッフの力量評価ができる。それにより意識改革にも繋がっている。

・精神的なプレッシャーや負担が減った。マッチングは、患者・スタッフ双方の満足度があがる。

・スタッフの力量に見合った患者対応、過去情報を活用することにより、採血したことによる

 体調不良の人が少なくなった。

・教育資料として活用できている。スキルの見える化ができた。

・データの集計が簡素化された。痛みや採血の取り直し等の有害事象の管理やTAT管理が

 できるようになり、ISO 15189に関連する記録類の作成の負担軽減に繋がった。

 

患者からの声

・速くなった

・1回で採ってくれた

・採血室が明るくなった、広くなったように感じる

・待ち時間がわかるようになって良かった

・他の検査に先に回ったり、時間の有効活用ができるようになった

・不在戻りがあって、安心、席を外し易くなった

・いつも丁寧に接してくれて嬉しい

 
 
 

今後、弊社に期待することがありましたら、教えてください。

採血患者の難易度判定について、採血難易度Ⅱは、応援、新人、ローテーター等の誰でもとれる位置付けにしましたが、採血難易度Ⅲが広く感じます。そこで、Ⅲの中でも、Ⅱ寄りのⅢなのか、Ⅳ寄りのⅢなのか、ⅢaとⅢbに区別したいです。

※穿刺情報から、難易度を判定するフローに基づき、患者ごとに採血難易度を自動判定します。難易度の数字が大きくなるほど、困難な患者となります。

 

採血業務指標化システムを使う前は、入力に抵抗感がありましたが、1ヶ月システムを使って、慣れてきた2ヶ月目から、失敗した情報を記録したいという意見が出てきていました。

採血が成功した情報に加えて、失敗時の情報も記録できるようになればよいと思います。

 


 

 

 

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