金型管理の方法とは?台帳・バーコード・RFIDを比較して最適な管理方法を解説
金型管理は製造業において、品質やコストに直結する重要な業務です。しかし現場では、「どこにあるか分からない」「管理しているのに見当たらない」「担当者しか分からない」といった課題が発生しやすく、属人化や作業ロスの原因となっています。
こうした背景には、台帳やExcelによる管理の限界や、情報が分散していることによる“見えない状態”があります。これらの課題を解消する手段として、近年ではRFIDを活用した金型管理が注目されています。
本記事では、社内における金型管理の方法について、見直すべき理由や代表的な管理手法(台帳・バーコード・RFID)の違いを整理したうえで、RFIDが有効な理由と具体的な改善効果を解説します。
金型管理の方法を見直すべき理由とは
金型管理は製造業において、製品品質やコストに直結する重要な業務です。
しかし、従来の管理方法には課題があり、見直しが求められています。
金型管理が属人化しやすい理由
金型管理における課題の一つが属人化です。
製造現場では、金型の状態や保管場所に関する情報が特定のベテラン社員に依存しているケースが少なくありません。手作業やExcelで管理していても、ルールが徹底されていなければ、人によって対応にバラツキが生じます。その結果、情報の更新や共有が特定の担当者任せになり、属人化が進みます。
金型の管理にはショット数やメンテナンス時期などの専門知識が必要なため、新しい担当者が即座に対応できず、特定の熟練者に業務が集中しやすいことも一因です。
「管理しているのに見当たらない」状態が起きる構造
「金型を管理しているのに探さなければならない」という状況が発生する理由として、金型の保管場所や状態に関する情報が複数の台帳に分散しているため、どれが最新情報か分からなくなることが挙げられます。
また、現場での金型の移動や使用状況が台帳に適切に反映されない場合、実際の所在が把握できず、探す手間が増えます。
データ化されていない管理の限界
金型の使用履歴やメンテナンス履歴がデータ化されていない場合、トラブルの原因追跡や予防保全を適切に行うことが困難になります。人の手で管理していると時間がかかり、棚卸し作業も煩雑化し、業務効率が低下します。
データ化されていても一元化されていない場合、どのデータが最新なのか正確な情報を把握できず、突発的な故障や不良品の発生リスクが高まります。
代表的な3つの金型管理方法とメリット・デメリット
図:金型管理の主な方法|台帳・バーコード・RFIDの違い
※導入するRFタグや機器類の構成により、読取り可能な範囲・距離は変動します。
金型の管理方法には、主に「台帳・Excelに手入力」「バーコード/二次元コード」「RFID」の3つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。以下で各管理方法の特徴を整理します。
台帳・Excelによる金型管理
金型番号や保管場所、ショット数、メンテナンス履歴などを台帳やExcelシートに記録して管理する方法です。
特別な設備が不要で導入コストがかからないため、小規模な工場や金型数が少ない現場では導入しやすい点がメリットです。一方で、手入力による運用となるため、いくつかの課題があります。
属人化のリスク
Excel管理では部署や担当者ごとに台帳が分かれることが多く、更新漏れや入力ミスが発生しやすくなります。また、ルールの不徹底やPC作業への苦手意識により、人によって対応にバラツキが生じがちです。その結果、特定の担当者に管理が偏りやすく、属人化につながります。
情報の信頼性低下
台帳の最新版がどれか分からず、どの工場・倉庫にどの金型があるか把握できなくなり、現場が台帳を信用しなくなるケースが考えられます。
効率性の低下
手元で一旦メモをとり、離れた場所に置いてあるPCまで移動した上で、手袋を外したり手に付いた油をふき取ったりしてからExcelへ入力するため、作業効率の面で問題が起こりやすいです。いざ入力しようとしても、他者による編集中で入力できないといった問題も見られます。
棚卸しや所在確認にも時間がかかり、実務負担が増加します。また、ショット数やメンテナンス履歴などの管理表が分散していると、情報が紐づかないため、トラブル対応が遅れるリスクも高まります。
バーコード/二次元コードによる金型管理
バーコード/二次元コードを印刷したラベルを金型に貼り付け、ハンディスキャナなどで読み取ってデータを管理する方法です。
金型の入出庫や棚卸しの際にスキャンすることで、管理情報をシステムに登録できます。台帳入力作業を減らすことができるほか、現場と離れた事務所のPCまで移動して入力する必要がない点がポイントです。
また、Excelなどの手入力と比べてリアルタイム性が高い点もメリットとして挙げられます。
一方で、バーコード/二次元コード管理には効率化できる反面、運用上の課題も存在します。
読み取りの手間
バーコード/二次元コードは目視で確認し、スキャナを近づけて読み取る必要があるため、大型金型や管理数が多い倉庫ではそれなりの工数がかかります。
また箱やカバーなどでラベルが隠れている場合、読み取ることができません。
耐久性の問題
金型が高温や薬品にさらされる場合、耐熱性や耐薬品性・耐溶剤性ラベルを使用する必要があります。またバーコードラベルが摩耗や汚れで読み取れなくなる場合があり、定期的なラベルの貼り替えが必要です。
RFIDによる金型管理
金型にRFタグを取り付け、リーダーで無線通信によって情報を読み取る管理方法です。RFIDは非接触でタグを読み取ることができるため、バーコード/二次元コードよりさらに読取り作業が行いやすく、棚卸し作業や所在管理の効率化を図ることが可能です。
特に一括・非接触での読取が可能という強みがあります。複数のRFタグを同時に読み取ることで、棚卸しや所在確認の作業時間を短縮するほか、多少距離が離れていてもタグを読み取れるため、大型金型や箱に収納された金型の管理にも最適です。
一方で、導入にあたってはいくつかの留意点もあります。金型は金属で構成されているため、タグやリーダーの選定を誤ると読み取り精度に影響が出る可能性があるほか、導入するタグや機器の構成によって読取可能な範囲や距離も変わります。
また、初期費用がかかる点や、運用設計(タグの取り付け位置や読取ルールの整備など)を事前に検討する必要があります。
金型管理方法を選ぶ際のポイント
金型管理の方法は、以下の視点から選定すると良いでしょう。
管理対象の規模と複雑性
小規模であればExcelでも対応可能ですが、大規模で複雑な管理が必要な場合はバーコード/二次元コードやRFIDが適しています。
コストと費用対効果
RFIDは、初期投資費用は高くなる傾向があるものの、長期的には効率化によるコスト低減効果が期待できます。
リアルタイム性と精度
リアルタイムでの所在把握やデータ更新が必要な場合は、専用システムとバーコード/二次元コードやRFIDでの運用が適しています。
現場の運用負担
現場作業者の負担を軽減するため、操作が簡単で効率的なシステムを選ぶことが重要です。
金型の使用環境
金型が使用される温度や、薬品・溶剤などに耐性がある媒体を選ぶことが重要です。
なぜ金型管理にはRFIDが有効なのか
RFIDは従来の金型管理の方法に比べて多くの利点を持ち、効率化や正確性向上に大きく貢献します。
RFIDが金型管理に適している理由
RFIDは無線通信を利用してタグの情報を非接触・一括で読み取るため、一つひとつの金型に直接触れる必要がありません。これにより、使用環境によっては作業効率が大幅に向上します。
RFIDと管理システム導入により作業効率の向上と情報の一元化が実現されると、誰でも簡単に管理できるようになり、属人化が解消され、リアルタイム性やトレーサビリティも向上します。加えて、RFタグは摩耗や汚れに強く、油や粉塵の多い環境でも安定して稼働する強みもあります。
金属環境での技術的対応
金型の素材である金属はRFIDの電波を反射・吸収しやすいため、読み取り精度が低下する可能性があります。
この課題に対しては、金属対応RFタグを使用することで対応可能です。金属対応タグは特殊な構造や材質で加工されており、金属の影響を受けにくい設計となっています。そのため、金属面に直接貼り付けた場合でも、一定の通信距離を確保できるよう配慮されています。
ただし、金属対応タグであっても必ずしもすべての環境で安定して読み取れるわけではありません。金型の配置や周囲の環境、容器の材質などによって読み取り性能は変動するため、適切なタグの選定や取り付け位置の検討、運用設計が重要です。
バーコードでは実現できない一括読取り
バーコードは一つずつスキャナを向けて読み取る必要があり、作業の手間がかかりますが、RFIDは複数のタグを同時に読み取れるため、金型が大量にある場合でも短時間で棚卸しが可能です。
RFIDはタグの向きや視線を合わせる必要がないため、金型が箱に収納されている場合でも効率的に管理できます。
※導入するRFタグや機器類の構成によって、読取可能な範囲や距離は変動します。
RFIDによる金型管理の具体的な改善効果
RFID技術を金型管理に導入することで、従来の管理方法では解決が難しかった課題を効率的に解消できます。
棚卸し時間の削減
RFIDは複数のタグを同時に非接触で読み取れるため、従来のバーコードや目視による棚卸しと比較して作業時間を短縮できます。バーコードでは一つずつスキャンする必要がありますが、RFIDではハンディターミナルを金型に向けてかざすことで次々とスキャンすることが可能です。
熟練度に依存せず誰でも迅速かつ正確な棚卸しが可能になることで、作業者の負担軽減にもつながります。
所在探索時間の削減
金型へのRFタグ取り付けと管理システム導入により、作業効率の向上と情報の一元化が実現されると、正確な情報がリアルタイムに確認できるようになります。これにより紛失リスクを軽減し、必要な金型を迅速に見つけることが可能です。
ショット数の蓄積
RFIDと成形機側のシステムを連携させることで、ショット数の自動記録が可能になります。ショット数をハンディターミナルに入力し、システム側に送信することでデータを記録・蓄積できるため、手書きや後入力によるミスを防ぎ、管理精度の向上につながります。
また、管理システム上で各金型のショット数を可視化できるため、メンテナンスの必要がある金型を把握可能です。ショット数の蓄積データを基に、適切なタイミングでメンテナンスを実施できるため、金型の寿命を延ばし、予期せぬ故障を防ぐことができます。
トレーサビリティ強化
RFIDを活用した管理システムを導入することで、金型の登録情報から貸し出し状況や置き場を確認でき、目的の金型を容易に追跡可能です。金型の情報が一元管理されるため、稼働状況の把握にも役立ちます。
RFIDで金型管理を効率化するなら「ぶっぴんさんfor金型」
RFIDによる金型管理を現場で定着させるには、タグやリーダーの導入だけでなく、取得したデータを一元管理し、運用に組み込む仕組みづくりが重要になります。
小林クリエイトが提供する「ぶっぴんさんfor金型」※は、RFIDや二次元コードを活用して金型の使用実績をデータ化し、所在管理やショット数管理を効率化できる課題解決策です。
金型のリアルタイムでの所在把握や使用履歴の蓄積が可能となり、棚卸しや探索の負担軽減に加え、トレーサビリティの強化にもつながります。また、台帳入力の手間も削減でき、現場の業務効率化を支援します。
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※ショット数管理が可能なのは導入企業のみです。委託先に金型を貸し出し、委託先でショット数を管理したい場合にはショット数を報告してもらう必要があります。
なお、金型管理を下請事業者に無償で保管・管理させている場合、「中小受託取引適正化法」(略称:取適法、旧下請法)に抵触する可能性があるため、注意が必要です。取適法に基づく適正な金型管理については、以下の記事で解説しています。
金型管理の方法に関するよくある質問
Q. RFIDで金型管理は可能ですか?
可能です。金型にRFタグを取り付け、専用システムとハンディターミナルで管理することで、金型の位置をリアルタイムで把握でき、紛失リスクを軽減します。
ショット数や使用頻度を記録することで適切なメンテナンス時期を把握できるほか、複数の金型を一括で読み取れるため、棚卸し作業の時間短縮にもつながります。
※導入するRFタグや機器類の構成によって、読取可能な範囲や距離は変動します。
Q. 金型管理の方法として、RFIDとバーコードはどちらが適していますか?
用途や環境によりますが、金型管理にはRFIDが適している場合が多いです。

金型管理のように大量の資産を効率的に管理する場合、RFIDが適しています。
Q. 金属製の金型でもRFIDは問題なく使えますか?
金属対応RFタグを使用すれば、金属環境でも安定した通信が可能であり、問題なく利用できます。
金属対応タグは耐熱性や耐衝撃性に優れており、過酷な工場環境でも使用可能です。
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ぶっぴんさんfor金型

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