RFIDの価格はどれくらい?
必要なアイテムと導入コストを解説
製造業の現場で導入が進んでいるRFIDは、業務の効率化や省力化に大きな効果をあげています。導入にあたっては費用が発生するため、必要な費用を把握して費用対効果を検証することが重要になります。本記事では、RFIDシステムを導入する際の構成アイテムと必要なコストを中心に解説します。
RFIDの市場価格
まず、RFIDの概要や価格動向についてご紹介します。
製造現場でも活用が広がるRFID
RFIDは無線通信を利用した自動認識技術です。製品や部品などの対象物に取り付けたRFタグの情報をRFIDリーダーで読み取るという形で使用されます。非接触で複数のRFタグを一括で読み取りできるという特長から、業務効率化を目的とした製造現場での活用例が増えてきています。
RFIDの仕組みや特徴については、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、製造業での具体的なRFID活用事例についてはこちらの記事をご覧ください。
RFIDの最新価格動向
近年は、RFIDシステムの導入が進み、RFタグを中心にコストダウンが進みました。
RFタグに関しては、標準的なRFタグでは生産量や購入ロットなどの条件によって1枚10円以下のものも市場に出てきています。比較的高価な金属対応のRFタグでは、ソフトシールタイプで1枚100円~300円程度、ハードケースタイプでは購入ロットによっては500円以下といったものが登場しています※。
ただし、昨今の原材料費の高騰に起因するインフレの影響から、今後もコストが下がり続けるかは見通せない状況です。
※記事内で例示している価格は、全て2024年1月時点の情報に基づいています。また、各アイテムの価格は、種類や発注ロットによっても異なります。
なお、経済産業省は大手コンビニエンスストアチェーン各社と共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表しています。この宣言は、2025年までに大手コンビニエンスストアで販売される商品にRFIDを普及させることを目指しており、RFタグ提供企業に対してもコスト低減に向けた企業努力を促しています。
この宣言を実現できるよう技術革新が進めば、標準的なRFタグラベルの大幅なコスト低減が実現するかもしれません。
RFIDリーダーに関しては、出荷量の増加・技術の進歩により、ハンディタイプや据え置きタイプのRFIDリーダーで1台20万円~30万円※程度の機種も出てきています。
※RFIDリーダーの付属品や、運用に必要なスマートデバイスには別途費用がかかります。
RFIDの導入に必要なアイテムとコスト感
RFIDシステムの導入には、RFIDリーダーとRFタグ以外にソフトウェアや周辺機器等も必要です。本章では、UHF帯におけるRFIDシステムの構成アイテムについて、それぞれ価格の目安を示します。
・RFタグ
標準的なRFタグラベルの価格は、1枚10円~30円台程度です。生産ロットや購入数量などの条件によっては、10円以下になるものもあります。また、金属対応のRFタグなどは100円以上のものが一般的です。
なお、RFタグの1枚あたりのコストは種類や発注するロットによって異なります。金属対応RFタグをはじめとした、特殊な種類のタグは高価ですが、大ロットで発注すれば1枚あたりの価格低減幅は大きくなる傾向があります。
・RFIDリーダー
ハンディ型や据え置き型の本体価格は20万円~30万円程度です。加えて、アンテナが1枚5万円~8万円程度、アンテナ接続用の同軸ケーブルは、1本あたり2万円~5万円かかります(長さや特性により変動)。
ゲート型を導入する場合は、ゲートアンテナの価格(数十万円、形態・仕様により大きく異なる場合があります)に加えて、工事費用(1ゲートあたり50万円~70万円)が別途必要な場合もあります。
・ソフトウェア
メーカーや仕様により異なります。
・周辺機器
RFID対応のラベルプリンターは50万円~100万円程度です。そのほかに、RFIDシステムを運用するためのPCやタブレットなどの情報端末等も必要です。
それでは、実際にこれらを導入した場合、どれぐらいの導入コストが発生するのかを見てみましょう。
例えば、部品在庫を10,000点保有し、在庫管理の効率化が課題となっている現場を想定します。この現場に5台のRFIDリーダーを導入し、在庫品1点ごとにRFタグを取り付けると仮定すると、導入全体に必要なアイテムとコストは以下の通りです。
<RFID導入にかかるアイテム・コスト>
※上記の見積もりは、2024年1月時点の情報を基にした簡単な一例です。実際の価格については、導入時期や状況、要件などによって変動します。
RFIDを導入する際のポイント
また、RFIDの導入にかかるコストに見合った効果を得るために、導入時は以下の点を意識しましょう。
現場の状況や業務内容を分析する
現場の状況や業務内容を分析し、どのような課題が発生しているか、どの工程にRFIDを導入したいのかを整理することが重要です。
例えば、一般的なUHF帯のRFタグは、通信可能距離は長いものの、水分や金属に弱いという特性があります。そのため、取り付け対象物や導入する現場の環境を踏まえて適切なものを選びましょう。
最適なRFタグ・RFIDリーダーを選定する
RFタグやRFIDリーダーは、種類が多く価格もさまざまであるため、適切なものを選ぶことが重要です。例えば、金属対応のタグや高温耐性があるタグなど、導入するRFタグの種類によってコストは大きく変わってきます。運用環境や運用方法に応じて適切なものを選びましょう。
RFタグの種類や選定時の注意点などについては、こちらの記事をご覧ください。
RFタグの選定方法については、以下の資料をダウンロードください。
また、RFIDリーダーの種類についてはこちらの記事で解説しています。
費用対効果が適切か検討する
RFIDシステムを導入する際には、RFタグやRFIDリーダーだけでなく情報を処理するソフトウェアや周辺機器も必要です。このため、システム開発の費用が発生する場合もあります。
そのため、まずはトータルでどの程度費用がかかるのかを事前に確認します。その後、RFID導入によって削減できる人件費や資材費なども試算し、導入コストと比較して適切な費用対効果が生まれるか検討しましょう。
RFIDを活用したコスト低減事例は、以下の記事で紹介しています。
読み取りエラーが生じる場合があることを理解する
RFIDは目に見えない電波を利用しているため、何らかの原因による読み取り漏れなどで正確な数量をカウントできない場合があります。例えば、RFタグ同士が重なっていたり、RFタグが金属物に接していたりして、読み取りができないという可能性があるため注意が必要です。
読み取り漏れを少なくできるようなRFIDの技術的な改良は進められていますが、上記のような要因で読み取りできないことは皆無にはできません。
対象物や使用環境によっては読み取り対象のRFタグの一部を読み取ることができない場合があることを想定して、運用面や他の技術と組合せることで読み取り漏れをカバーする方法を取ることも選択肢として検討しましょう。
RFIDを効果的に導入するための手順やポイントについてはこちらの記事で解説しています。
また、RFID導入前にチェックすべき項目については、こちらの資料でわかりやすくまとめていますので、ぜひご覧ください。
まとめ
RFIDを導入する際は、導入にかかる初期コストだけでなく、長期的な費用対効果を踏まえて判断することが重要です。RFIDの導入にかかるコストは、システム構成や必要なタグの数量、種類によって大きく異なるため、現場の現状を把握したうえで最適なものを選定しましょう。
製造現場におけるRFIDの導入については、小林クリエイトまでご相談ください。さまざまな現場で導入できる多様なソリューションを取り扱っており、利用シーンに応じた最適なタグや機器をご提案可能です。
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以下の資料では、RFタグ・ラベルの選定時に気を付けたいポイントをケース別でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
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